議会報告

令和5年9月13日代表質問①

本市の介護予防の在り方について

2023.09.13

質問

本市の介護予防の在り方について伺います。
いこい元気広場事業、各区で実施する一般介護予防事業の参加者数と、事業経費について、令和4年度実績と事業開始からの推移について概要を伺います。

答弁

(健康福祉局長)
「いこい元気広場事業」につきましては、平成19年10月から、各区の公園等において、住民が主体的に実施している健康体操などの一般介護予防事業につきましては、平成28年度から実施し、両事業を合わせた令和4年度の実績は、参加者数が約2万6千人、事業費が約9千100万円でございます。
また、現在と同様に両事業がともに実施されている平成28年度以降の推移といたしましては、コロナ禍での休止や人数制限を行った期間を除くと、各年度の参加者数は、約4万1千人から約5万7千人、各年度の事業費は、約9千万円で推移しているところでございます。

質問

令和4年度の国の予算ベースの社会保障の給付の現状報告では、社会保障給付費は131兆円、おおよそ6割が保険料負担とのことです。残りの公費負担4割のうち16兆円が地方一般財源を見込んでいました。本市令和4年度決算における、社会保障に係る費用の合計、とその内訳概要について伺います。
また過去の国の予算ベースでの社会保障給付費の予測からも上振れ傾向が見られています。本市におけるこれら費目の長期傾向について伺います。

答弁

(財政局長)
令和4年度におきましては、保育事業に係る扶助費が669億円余、生活保護に係る扶助費が552億円余、障害者福祉に係る扶助費が499億円余、高齢者福祉に係る扶助費が27億円余で、あわせて2,386億円余となっており、このほか、後期高齢者医療事業会計への繰出金が27億円余、介護保険事業会計への繰出金が159億円余となっております。
今後の見込みにつきましては、「収支フレーム」では、「一部の社会保障関連経費」として、生活保護費については、過去の推移等を踏まえ、一定としておりますが、保育事業高齢者福祉障害者福祉につきましては、対象年齢人口の推計や、対象者数の動向などを踏まえまして、一定程度の増加を見込んでいるところでございます。

質問

今後の人口高齢化傾向、さらには予測を上回る社会保障費に対し、本市の収支フレーム上の高齢者関連費用は今後5年で40億円増、令和12年度には400億円を超過すると見込んでいます。これらがさらに上振れするリスクとその要因について伺います。
また収支フレームに甘んじることなく、抑制する必要性についての考え方と具体策について伺います。
先述の通り、本市は積極的に介護予防に取り組んでいますが、効果測定はできているのか、現況を伺います。
また市民サービスを維持向上しつつ、今後の社会保障費の抑制をはかるためには、データあるいはエビデンスに基づいた政策決定が必要と考えますが、本市の考え方を伺います。また効果測定を行う上で、どのような介入施策を行ったかを計測し、結果としてKDBなど、本市が活用可能なデータで検証し、費用対効果を金額ベースで予測を行い、適切に財源を充てることが必要と考えます。本市の見解を伺います。高齢者の閉じこもりを予防するには、既に活動的な層にアプローチすることはもちろん、運動をしたくない・できない層へのアプローチが必要と考えます。本市の見解と対応を伺います。
また介護予防には、災害時における要支援者等の最少化という防災面での効果が期待されます。本市の介護予防策は、防災に如何に寄与しているのか、現状を伺います。

答弁

(健康福祉局長)
本市の収支フレーム及び収支見通しにおける高齢者福祉関連経費につきましては、令和10年度に389億円、令和12年度には406億円を見込んでおりますが、想定を上回る介護サービス利用者の増加などを要因とした上振れのリスクはあるものと推察されます。
こうした中、地域包括ケアシステムの構築に向けて、介護予防・重度化防止に向けた取組や市民の健康寿命延伸に向けた取組を推進することにより、併せて負担と給付の最適化にもつながるものと考えております。
介護予防の効果につきましては、本人の健康状態や生活環境に大きく左右されることから、測定が難しい次に、介護予防の効果につきましては、本人の健康状態や生活環境に大きく左右されることから、測定が難しいものと認識しておりますが、令和4年度における「いこい元気広場事業」においては、参加直後と半年後の卒業時に、事業利用後の効果の目安として、簡易フレイルチェックを実施し、約4割の方が心身機能の状態が改善、約5割が維持できたことを把握しているところでございます。
次に、エビデンスに基づく事業展開につきましては、国や学術研究において、介護予防施策の導入前後の要介護度等を比較することにより、費用対効果を踏まえた事業評価を行う手法について、研究が進められております。
また、質の高い医療・介護等のサービスが提供できるよう、国・公的主体によって統一的に管理されるデータの連携・活用など、社会保障全体のDX推進に向けた議論も進められているところでございますので、今後も、国や学術研究における動向を注視してまいります。
次に、高齢者の閉じこもりを予防するためには、散歩や趣味など、日常生活における様々な活動も有効と考えております。
併せて、身体機能が低下し始めた方に対しても、自立支援に向けた意欲喚起や生活改善を促すことが重要であることから、次期「かわさきいきいき長寿プラン」において、介護予防に関する広報等の充実を図りつつ、早期からの対象者把握の方策を検討する方向で調整しております。
また、リハビリ専門職による短期集中サービスや、地域参加を支援する生活支援サービスを新設し、多様な地域資源につなげることにより、社会参加を促進していくことを考えております。
次に、日頃からの介護予防活動を通じて地域とのつながりをもつことは、平時における状況把握とともに、災害時にお互いに声をかけ合えることにもつながるものと認識しております。
新たな介護予防の取組により、災害時にも自立した生活を継続できるようにしていくとともに、地域で支え合える関係を築いていけるよう努めてまいりたいと存じます。

意見要望

高齢者関連福祉経費は今後も上昇し、さらに上振れするリスクもあるとのことです。また、その適正化・変化の抑制に資するであろう、フレイル予防に向けた取組も重ねていますが、参加者数も限定的であり、その事業効果も明らかとなっていないため、結果踏み込んだ予算配分も行うことができていない、もどかしい状況が続いていることが伺えます。
事前のやり取りでは、KDBの解析をはじめとした、介護予防分野におけるEBPMの実現に向け、日々懸命に調査に取り組まれていることもわかりました。
今後は、介護保険に係るインセンティブ交付金など、いまだ使いきれていない可能性のある国の補助あるいは助成、交付制度を十分に理解し、本市に優れた研究機関が多数立地するというポテンシャルを最大限に生かし、川崎らしい先進的な介護予防に向けた取組を求めます。