議会報告
令和5年9月13日代表質問㉚
川崎市立病院経営計画について
2023.09.13
質問
川崎市立病院経営計画について伺います。
本計画は、今後の人口減少や高齢化に伴う医療ニーズの質・量の変化、働き方改革の推進等による医療環境の変化や新型コロナウイルス感染症への対応などを踏まえ、更なる経営改革と経営健全化を図ることを目的に策定されました。
策定経過においては学識経験者、財務の専門家および医療関係者で構成される、川崎市立病院運営委員会による前計画の外部評価結果や意見を踏まえて策定されたとのことですが、外部評価を踏まえて見直しされた課題ならびに改善点について伺います。
外部意見では実績値を基準にした目標値設定が必要と指摘された結果、病院全体の成果指標を設定する運びとなりました。検討される具体的な指標の内容について伺います。
答弁
(病院局長)
現行計画では、その策定過程におきまして、新型コロナウイルス感染症への対応が伝えきれていない、という外部委員の御指摘を踏まえ、新興感染症への対応を新たな取組として位置づけ、感染症対応訓練の実施や、新興感染症に備えた医療材料の備蓄、感染対策出前講座の実施等の具体的な取組を各病院の計画に掲げております。
また、医師の働き方改革の推進に留意する必要があるという御指摘を踏まえ、「働き方・仕事の進め方改革の推進」を新たな課題として捉え、医師事務作業補助者や看護助手についての数値目標を定めるなど、取組を推進することといたしました。
また、成果指標につきましては、患者満足度、経常収支比率、紹介率、逆紹介率など、病院の実績を表す基本的な指標を、病院全体の成果指標として掲げたところでございます。
質問
医療介護総合確保推進法により病院完結型から地域完結型への移行が求められていますが、公立病院として具体的な方策を伺います。
答弁
(病院局長)
地域完結型への移行についてでございますが、地域の限られた医療資源を有効に活用するためには、個別医療機関がそれぞれで全ての医療ニーズに対応する「医療機関完結型医療」ではなく、医療機関がそれぞれの得意分野を活かし、地域全体で完結する「地域完結型「医療」が求められております。
そのためには、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を地域の複数医療機関で構築することが重要であると考えております。具体的には、市立川崎病院では、救命救急センターの機能を強化・拡充し、三次救急、二次救急を中心に充実させ、地域医療機関との機能分化を進めてまいります。
また、市立井田病院では、川崎市病院協会の「中原2次救当番制」事業に協力し、救急体制の病院間連携に取り組んでいるところでございます。このように、市立病院といたしましては、他の医療機関の協力を得ながら、引き続き地域医療の中核病院としての役割を果たしてまいります。
質問
県地域医療構想での4機能区分ごとの病床数と予定病床数比較では、川崎南部保健医療圏では高度急性期および回復期病床の不足、川崎北部保健医療圏では回復期の病床が不足しています。計画における今後の対応について伺います。
さらに経営健全化の推進として、患者増による収入確保や経費節減の取組を進めるとしていますが、そのためには井田病院の経常損益の黒字化が必要と考えます。具体的な計画について伺います。
答弁
(病院局長)
地域医療構想についてでございますが、市立病院は、市の中核的医療機関として、急性期医療を提供することを主な役割としておりますことから、現時点では、回復期病床の拡充などについての計画はございません。次に、井田病院の経営についてでございますが、井田病院では、平成26年度から令和元年度までは、経常損失が減少してきておりましたが、令和2年度から4年度までは、新型コロナウイルス感染症に対応するため、不急の手術等の制限やコロナ専用病床を92床確保したことなどによる稼働病床の減少により、入院・外来患者数が減少しております。令和4年度は、収益面では回復傾向にありましたが、光熱費などの高騰で、急激にブレーキがかかり、コロナ前の状態への回復には、まだ時間がかかるものと考えております。
また、井田病院における「経費削減策」といたしましては、「院内LED化」、「空調用自動制御器の導入」などにより、高騰する光熱費の削減に取り組んでまいりますが、さらに、委託契約における「仕様の見直し」や、高額な医療材料や薬品などの購入時における「価格交渉の強化」などにも、引き続き、取り組んでまいります。
これらの取組も含め、現在、令和6年度から9年度までの4か年を計画期間とする次期経営計画の策定作業中でございますので、その過程の中で、市立病院一体での経営改善策について検討を進めてまいります。
災害拠点病院についての御質問でございますが、現行の川崎市立病院経営計画では市立3病院について、災害拠点病院等の機能維持・強化に関する取組を定め、推進しており、今後につきましても、引き続き市の災害対応に関する考え方等を踏まえ、取り組んでまいります。