議会報告

令和5年9月13日代表質問②

川崎市地球温暖化対策等に関する条例施行規則等の改正について

2023.09.13

質問

川崎市地球温暖化対策等に関する条例施行規則等の改正に向けた検討状況について伺います。
令和6年度施行内容と同時に公表された、令和7年度施行内容として、大規模建築主に対して太陽光発電設備等の設置を義務付ける制度1と、一定規模以上の建築を行う特定建築事業者に対し、太陽光発電設備の設置を義務付ける制度2について、専門家意見と今後の検討の方向性が示されました。
特に制度2については、市民の負担となるものであるため、慎重な議論を要します。今回の報告では、義務化される内容について、特定製品に関する基準を設けず、基準量のみを明らかとしました。太陽光発電設備の一部製品には、製造工程における海外強制労働との関わりが懸念されてきました。
また多摩川に沿って展開する市域において、浸水被害の際のリスクについても懸念材料が残ります。
これに対し、軽量・薄型のペロブスカイト電池など、特に国産の新技術が実用化した際に、より積極的に設置を促すインセンティブの導入が、より安心安全な再エネ普及につながると考えます。見解を伺います。

代替措置と除外規定についてです。代替措置については、いわゆる太陽光パネルが前提とされていると考えられます。代替措置として、太陽熱、地中熱のほかに、既存建築物への太陽光発電設備の新設とオフサイトPPAが挙げられています。それぞれ具体に伺います。

また再生可能エネルギーによる電力調達・証書調達は、長期的にエンドユーザーに負担がかかるとして、代替措置としないとしました。現況では流通電力よりも高価な再エネ電力ですが、相対的により安価な再エネ電力の供給が可能となった場合、再エネ調達こそが本流となると考えます。見解を伺います。

答弁

(環境局長)
本市には、ペロブスカイト太陽電池の開発等を行っている事業者と、その開発を支援している新エネルギー・産業技術総合開発機構が立地しており、このような市内企業が持つ世界最先端の技術が商品化され、活用が進むことは、脱炭素社会の構築はもとより、本市経済の一層の発展にもつながるものと考えております。
そうした脱炭素に資する新たな技術が実用化され、商品化された際には、速やかに代替措置として扱うことができるよう、適切に規則改正を行うとともに、設置を促す取組について検討してまいります。

次に、代替措置についてでございますが、太陽熱又は地中熱を新築建築物に導入した場合、太陽光発電設備の代替として義務量に計上できる措置を検討しております。また、既存建築物への太陽光発電設備の新設につきましては、対象事業者が、本市内で過去に建築した既存建築物に太陽光発電設備を新たに設置した場合などに義務量に計上できる措置を検討しております。

また、オフサイトPPAにつきましては、対象事業者の責任において敷地外に太陽光発電設備を設置し、そこで発電された電気を、新築建築物に供給した場合などに義務量に計上できる措置を検討しております。

次に、再生可能エネルギー電力調達・証書調達についてでございますが、再エネ等の調達は、電気を使う人、すなわち、住宅にお住いの個人が電気料金と合わせて再エネ等調達分の料金を支払う仕組でございます。
一方、本制度は、個人に義務を課すものではなく、建築物を新築する特定建築事業者に対して、一定量の太陽光発電設備の導入を義務付ける制度でございますので、再エネ等調達の手法を採用しますと、特定建築事業者ではなく、お住いの個人に義務の履行を求めることになることから、代替措置とはしないこととしたところでございます。
なお、大規模な建築物への太陽光発電設備の設置を義務付ける、特定建築物太陽光発電設備等導入制度においては、義務履行者と建築主が同一であるため、再エネ等調達についても代替措置とするところでございます。
今後、様々な技術革新により脱炭素に資する新たな技術が実用化されることで、再エネ電力が市民の方々に広く普及することが必要と考えております。
しかしながら、現段階は、その途上にあるため、本市といたしましても、2030年度までに再エネを33万キロワット以上導入することを目標に、太陽光発電設備等の設置に係る義務制度などにより、まずは市域の再エネ導入を推進してまいります。