議会報告

令和5年9月13日代表質問③

川崎未来エナジー株式会社について

2023.09.13

質問

本年10月12日には会社設立の運びとなり、市域への再エネ普及への役割が期待されます。現段階で本市が明らかとしている事業スキームは、一定程度の電力を調達し、これを小売りすることで、結果的に収益は安定するため、当社に対して出資したことは妥当であるとする説明に留まり、その収益構造は明らかとしていません。
当社は、設立当初数年は本市の廃棄物発電からの調達を主としている以上、本市としてどの程度の収入を見込むのかが焦点となります。当社調達原価、つまり本市の供給価格の見通しとその前提となる原油市況等想定する外部環境について伺います。

一方で供給先は、設立当初は公共施設と民間施設が同程度ですが、現時点での事業スキーム上は、その後長期的に供給先のほとんどが公共施設としています。供給価格のあらまし、あるいは設定方法について伺います。

事業リスクとしては、電力システム改革等の制度変更、災害などの外部要因もありますが、収支変動リスク、これに伴う資金不足などの一般的な経営リスク要因については、出資者である本市と本市市民に対する説明として、リスク発現前に明示することの必要があると考えますが、見解を伺います。

またその前提として、計画している事業スキームの収益構造を示すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁

(環境局長)
会社への電力供給価格につきましては、これまでの廃棄物発電の契約実績のほか、原油市況の影響を受ける卸売電力市場の動向や頻繁に見直しがなされる電力制度などの外部環境を踏まえ、検討していくことを想定しております。

次に、会社の電力供給価格の設定方法につきましては、大手電力会社の標準的な価格を参照するとともに、電力調達コストのほか、送配電事業者に支払う託送費や電力需給、販売管理に係る費用などから設定するものと想定しております。

次に、収支変動リスクにつきましては、電力の市場調達割合を10%以内に抑えることなど、一定のリスク低減措置を講じるとともに、今後、金融機関とも綿密に資金計画を検討するなどの対応を想定しておりますが、金融機関から選出される監査役による経営状況の確認などにより、収支リスクが見込まれる場合には、すみやかに市に報告するよう求めてまいります。

次に、事業スキームの収益構造につきましては、会社設立にあたり、電力の供給による売上や、必要な経費、利益をシミュレーションしたものでございまして、今後、川崎未来エナジーにおいて精査していくものでございます。

今後におきましては、川崎未来エナジーにおいて策定する事業計画や財務見通しなどを踏まえ、「出資法人の経営改善及び連携・活用に関する指針」に基づく方針を会社と連携して策定し、公表するとともに、財務諸表などについて議会に報告してまいります。
また、個別の案件につきましては、公にすることにより、事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある場合などを除き、適切に対応を図るなど、説明責任を果たしてまいります。

質問

当社は、本市が公共施設への再エネ100%化を目指すうえで、市内廃棄物発電では賄いきれないため、調達する仕組を構築するビジョンに留まります。期待するところは、他のセグメントからの電源調達、そして市民への安価供給と考えますが、当社の長期的ビジョンに対して、市長の期待するところを伺います。

答弁

(市長)
JFEスチールの高炉の火が消えるという歴史的なタイミングにおいて、脱炭素を目指す本市の象徴的な取組の1つとなる「川崎未来エナジー株式会社」の設立を迎えることは、大変意義深いものと考えております。
川崎未来エナジーは、民間事業者と連携して、再生可能エネルギーの普及拡大や地産地消を推進するとともに、エネルギーに関するイノベーションを加速させることを目指して設立するものでございます。
この会社が、地域のエネルギー課題にチャレンジする、プラットフォームの中心的な役割を果たし、市域に安定的に再エネが普及するとともに、その利用の最適化や民間への供給拡大などに取り組むことで、2050年の脱炭素社会の実現やこの先の100年を見据え、本市が、市民からも企業からも選ばれる都市になっていくための一翼を担う存在となることを期待しております。