議会報告
令和5年9月13日代表質問⑤
令和4年度水道事業会計について
2023.09.13
質問
令和4年度水道事業会計、下水道事業会計、工業用水事業会計、および上下水道局の組織体制と、今後の経営のあり方について伺います。
ここ数期の決算内容を紐解くと、営業収益はほぼ一定であるのに対し、営業費用に関しては、令和4年度実績は令和2年度実績と比較しても1割程度増加するなど、下水道事業費用は右肩上がりとなっています。この傾向はこのまま将来に渡り続くのか、見解を伺います。
また、ここ数期の傾向が続くとすると、2年から3年以内には営業収支は赤字転落することも想定されます。営業収支改善の必要性、赤字転落した際に想定される財政的な手当について、見解を伺います。
また営業外収入として、今後拡大が見込まれるもの、あるいは現状では存在しないが今後考えられるもの、それぞれについて、具体的に伺います。
答弁
(上下水道事業管理者)
はじめに、営業費用の増加傾向につきましては、近年の電気料金の価格高騰による影響が特に大きいところでございまして、今後の電気料金価格の推移によって増減するものと考えております。
次に、収支改善の必要性等につきましては、令和4年度決算見込みでは純利益を確保しておりますが、電気料金価格を含めた物価高騰などの影響により、大変厳しい経営環境にありますことから、まずは、支出抑制などによる自助努力を行うことで健全経営に努めてまいります。
次に、営業外収入の見込みにつきましては、低利用又は未利用の状態にある下水道事業の土地の貸付け等について、引き続き検討を進めてまいります。
質問
水道事業会計についてです。営業収支は予算時点で既に赤字としている傾向が数年続いています。事業収支段階では、水道利用加入金などの営業外収入に頼る経営体質となっています。営業収入も年々増加していますが、それ以上に営業費用の増加傾向が顕著です。令和4年度決算では、他会計補助は事業収益に対し0.1%程度ですが、このまま事業赤字額が拡大すると、他会計補助の増額を余儀なくされる事態が想定されます。
見解と対応を伺います。
答弁
(上下水道事業管理者)
他会計補助金につきましては、川崎縦貫道路関連経費として、一般会計との協定に基づき、企業債発行に係る支払利息相当分を受け入れているところでございます。
地方公営企業法では、いわゆる独立採算制の原則が定められているところでございまして、仮に事業の赤字額が拡大したとしても、直ちに他会計補助金の増額につながらないものでございます。
今後も、燃料価格の高騰などによる事業経費の増加が見込まれることから、限られた収入の中で、支出抑制などを図りながら、引き続き、健全経営に努めてまいります。
質問
工業用水道事業に関しては、令和4年度決算までは安定的に黒字傾向が続いていましたが、本年度以降は給水需要の減少に対して、供給体制の縮小と料金見直しの時期に突入します。
これらの決算を踏まえ、経営体制について伺います。上下水道事業の統括は、平成20年に始まった、川崎市行財政改革プランの取組として、実施されました。このプランでは、当時の川崎市の未曾有の財政危機を背景として、事業の効率化が目的とされました。既に経営状況の将来的な困窮の傾向が見られる令和4年度決算において、3事業統括の効果はどの様に活かされているのか、どの程度の財政的な効率化につながっているのか、総括を願います。
また同時に、市民人口増加の一方で、同時期から職員数は、おおよそ2割減となりました。市民サービスの質は、当時と比較して維持されているのか、または改善しているのか、本市の見解を伺います。
近年不祥事が散見される局内において、職員減が職場風土に与える影響についても本市の見解を伺います。
3事業統括から、次年度は15年目を迎える中、3事業それぞれが経営的な難局を迎えることが予測されます。当時は、本市としても中期経営ビジョンを示し、組織改変時には、管理集約による効率化を標榜しつつ、水道利用料金の値下げも行いました。3事業集約体制はそれぞれ現時点でも維持されている中、果たして効率的な人材運用ができているのか、そこに弊害はなかったのか、見解を伺います。
答弁
(上下水道事業管理者)
はじめに、上下水道統合の効果につきましては、平成22年度の上下水道局の設置により、上下水道部門間における災害時の相互応援体制確立による危機管理体制の向上や、コールセンターを活用した問合せ窓口の一元化による市民・事業者の利便性の向上など、効果的に各事業を実施しているところでございます。
また、下水道事業における地方公営企業法の全部適用への移行に伴い、管理部門を共有化することにより、単独で「下水道局」を設置した場合と比べ、13人分の人件費削減効果を生み出すなど、財政面における経営の効率化にもつながっているものと考えているところでございます。
次に、市民サービスの質につきましては、職員数は減少しているものの、お客さまサービスの充実などに取り組んでいるところでございまして、市民意識調査のお客さまサービスの満足度の項目において、肯定的な回答の割合が上昇していることからも、市民サービスの向上が図られているものと考えているところでございます。
次に、職員減が職場風土に与える影響につきましては、職員定数の見直しが不祥事の発生に直接つながるものとは考えておりませんが、昨年度に実施した全職員対象のアンケート等の結果、職場風土・環境・風通しに改善の余地があることが課題としてあげられたため、今年度から私や部長級職員と若手職員によるラウンドテーブルミーティングを実施するなど職場風土などの改善に向けて取り組んでいるところでございます。
次に、3事業の効率的な人材の活用につきましては、上下水道部門間における人事異動を積極的に行うことなどにより、効率的かつ効果的な執行体制の確保に努めてきたところでございます。
今後も、組織の連携強化や上下水道の専門家集団の育成などの視点から、効果的な人材育成や人事異動に努めてまいりたいと考えております。
質問
防災面では、近年増加する降雨量と内水氾濫に対し、国としても下水道による浸水対策を推進しており、下水道事業への負担の急増傾向が始まっています。
急激な浸水対策費用の上昇に対し、営業収益の確保についての本市の対応を伺います。
またその際に、低未利用資産の活用の取組について、伺います。
答弁
(上下水道事業管理者)
はじめに、下水道事業会計では、雨水公費・汚水私費の原則によりまして、浸水対策費用に対する一般会計からの繰出金を受けているところでございます。今後は、浸水対策費用の増加が見込まれますことから、関係局と調整を図りながら事業を進めてまいります。
次に、低未利用資産の活用の取組につきましては、上下水道局では、持続可能な経営基盤の確保のために、低未利用な状態にある土地などの資産を積極的に有効活用しており、今後も、更なる収益の確保に向け、引き続き検討してまいります。