議会報告

令和6年3月7日予算審査特別委員会②

三沢川流域の浸水対策と危機管理体制、水路維持補修事業費・農地整備費ついて

2024.03.07

質問

川崎市下水道事業会計予算のうち、1款1項1目公共下水道整備費に含まれる三沢川流域の浸水対策について伺います。令和6年度予算に含まれる関連整備事業費と事業名、それぞれの実行時期、中長期的な対策の中での位置づけについて伺います。

答弁

(上下水道事業管理者)
令和6年度の関連整備事業につきましては、浸水対策施設の整備に当たり、雨水管渠やポンプ施設に係る設計及び雨水管渠の工事費として約4億円を計上しておりまして、地域住民の方々と調整しながら進めてまいります。また、この取組につきましては、三沢川地区における浸水対策事業として平成30年度より国の下水道浸水被害軽減総合事業に位置づけた計画に基づくものとして実施しており、令和13年度の完了を目途に進めてまいります。

質問

三沢川流域の浸水対策には4つのポンプ施設が計画されており、菅・菅稲田堤地域を対象としていますが、対象住民の数とエリアについて伺います。

答弁

(上下水道事業管理者)
対象エリアなどについての御質問でございますが、浸水対策エリアにつきましては、菅、菅稲田堤のほか、菅野戸呂、菅城下、布田の一部地域にお住まいの約2万4,000人を対象としております。

質問

菅・菅稲田堤地域と書いておりますので、なかなか住民理解が進まないところもありますので、ここも訴求していただければと思います。続けます。先月、菅稲田堤3丁目に設置を計画しているポンプ場について住民説明会が行われました。これまで丁寧に説明と相談を続けてきたかと思いますが、行政における決定の時期、情報公開のタイミング、住民との協議過程について、時系列を追って伺います。

答弁

(上下水道事業管理者)
住民との協議過程についての御質問でございますが、ポンプ施設などを活用した浸水対策につきましては、川崎市上下水道事業中期計画に位置づけ、令和4年2月に議会へ報告し、同年3月に公表しております。住民との協議過程につきましては、令和5年3月に設置場所について関係局区との協議が調いましたので、同年7月から菅町会役員をはじめ町内の自主防災組織の役員の方などに順次説明をさせていただき、本年2月には菅稲田堤3丁目にお住まいの方を対象に説明会を開催したところでございます。

質問

菅稲田堤3丁目にお住まいの方を対象にということですが、該当の菅城下の皆さんであったりとかも何人かいらっしゃっていたようなので、一応補足させていただきます。続けます。計画とおっしゃるんですが、この計画とは決定事項なのか、今後、市民の声を聞き、反映する余地のあるものなのか伺います。

答弁

(上下水道事業管理者)
本地域の特性といたしまして、道路幅員が狭く、地下埋設物もふくそうし、さらに地盤の低い土地の雨水を排水する必要があるなど多くの制約があることから、公園内にポンプ施設を設置する計画としたところでございます。今後、本施設の配置等の検討に当たりましては、地域の方々の御要望を伺いながら進めてまいりたいと考えております。

質問

説明会では、計画しているポンプ場のレイアウト図が示されました。この図はどのように作られたものか、経緯を伺います。また、今後市民の声を受け入れる余地はどの程度あるのか、図面の位置づけを詳細に伺います。また、施設内公園、屋上公園は考えられないのか、また改めて伺いたいと思います。よろしくお願いします。

答弁

(上下水道事業管理者)
初めに、作成の経緯につきましては、地域の方々にポンプ施設を具体的にイメージしていただくために作成したものでございます。次に、レイアウトにつきましては、地域の方々からいただいた施設の配置変更や景観への配慮等の御要望を参考に、さらに具体化してまいりたいと考えております。次に、ポンプ施設内の公園等の整備につきましては、施設規模を考慮すると屋上への公園の整備は困難なものと考えますが、ポンプ施設の配置等の工夫により、さらなる空間確保について検討してまいります。

質問

ポンプ場設置場所について、菅第3公園が候補として挙がっている背景を伺います。ほかの候補地では適さない理由についても伺います。また、水量計算上、その根拠となる流域内各地の標高を、例を挙げてお示しください。

答弁

(上下水道事業管理者)
流域内各地の地盤の高さにつきましては、稲城市との市境付近においては海抜約32メートル、稲田公園付近及びJR稲田堤駅付近で海抜約29メートル、菅第3公園付近で海抜約27メートルとなっております。浸水対策においては、雨水は地盤の低い位置に集中するためその地点で取水し、さらにこれらの雨水を河川に排水する必要があることから、地盤が低い候補地のうち、大丸用水や三沢川に近接する菅第3公園を最適な候補地として計画しております。

質問

公園代替地について、局内で検討している代替候補地について伺います。また、稲田取水所の活用について、今後の工業用水需要の見通しも含めて見解を伺います。

答弁

(上下水道事業管理者)
代替公園につきましては、上下水道局が所有する低未利用地である近隣の削井跡地や稲田水源地跡地を候補地としております。また、稲田取水所の活用につきましては、今後の工業用水道事業の水需要は減少することが見込まれているところですが、老朽化が進行している浄水場や送水管等の主要施設を効率的かつ経済的に更新するためには、多摩川水系からの取水能力を最大限活用していく必要があることから、稲田取水所を代替公園として活用することは難しいものと考えております。

質問

ポンプ場、公園代替地、それぞれについて市長部局全体での代替地確保の検討、民間への協力を伴う代替地確保の可能性について副市長に伺いたいと思います。

答弁

(副市長)
ポンプ場等の代替地についての御質問でございますが、ポンプ場の整備につきましては、諸条件の整理等の結果から、菅第3公園用地を活用しての整備が浸水対策を進める上で最適であると考えているところでございます。また、菅第3公園につきましては、長年様々な年代の周辺住民の方々に御利用されてきた経緯があることから、このたびのポンプ場整備に伴う対応につきましては、今後も地域の御意見をしっかりと伺い、必要な対応を図っていくことが重要であると考えているところでございます。

質問

菅第3公園に公表されたポンプ場が建設された際、景観が大きく変わります。同公園は周辺で最も見晴らしもよく、三沢川のせせらぎを感じながら、子どもから高齢者までが憩える場所となって40年経過し、ふるさとの情景の一つとなっていると言っても過言ではございません。一方で、令和元年東日本台風以来、私自身を含めまして、地域住民は大雨のニュースに不安を感じ、夜も眠れぬことも少なくありません。この水害対策には、令和元年東日本台風の被害と教訓を刻むレガシーの意味を込めることのできる重要な政策であると考えております。水害からの教訓、残すべきレガシー、未来に向けた対策による景観の変化とこれに伴うふるさとの喪失、これを補うための本市のシビックプライド醸成方針について、それぞれ市長に伺いたいと思います。

答弁

(市長)
三沢川地区浸水対策についての御質問でございますが、令和元年東日本台風による水害では、浸水リスクを踏まえたまちづくりの重要性が改めて明らかとなりました。いざというときに備え、安全・安心なまちづくりや地域防災力の強化を進めるとともに、流域一帯で対策に取り組む機運、価値観などを未来に引き継いでいくことが必要と考えております。今後も、気候変動に伴い浸水リスクは増大するものと考えておりまして、地域環境の変化にも配慮しながら水害にも強いまちづくりを着実に進めることこそが当該エリアの価値向上、さらには地域への愛着、誇りにつながるものと考えております。

上原

市長からも御答弁いただいたように、しっかりと取り組んでいただけるということなので、応援していきたいなとも思いますが、やはり景観の変化に関しては少し配慮が必要なところになっております。重々市民の皆様に御配慮いただきながら進めていただければと思います。

質問

関連して危機管理体制について伺います。標高が最も低い地域において、令和元年東日本台風のような急激な水量増が起きた際、地域住民はどのように避難することが適切なのか、詳細を伺います。

答弁

(危機管理監)
台風接近時における避難の考え方についての御質問でございますが、大型台風の接近が予測される場合につきましては、タイムラインに基づき、災害発生が予想される72時間前から警戒会議等により各局区等との情報共有を行い、高齢者等避難や避難指示などの避難情報を早めに発令することを基本としており、河岸浸食などにより家屋の流失や倒壊等の危険がある場所にお住まいの方は、発令に従いできるだけ早い段階で立ち退き等の避難行動が必要になるものと考えております。
また、令和元年東日本台風の教訓を踏まえ、区役所において風水害時の緊急避難場所の運営マニュアルを避難所ごとに作成するとともに、各局の避難所運営支援要員による応援体制の構築や、県立高等学校との協定締結のほか、多摩区では大型台風の接近時などには全避難所の開設を前提とした対応に変更するなど改善に取り組んでおります。なお、近年においては、避難所開設が必要となる災害が発生していないことから、図上訓練等により対応力の向上に努めているところでございます。

質問

防災無線については皆様からもたくさん御質問があるところでございますが、この菅稲田堤3丁目地域においては防災無線が聞こえないとの声に対して、これまでどのような対策を行ったのか、対策過程を伺います。市内に同様の声はないのか、あればどのように対策を講じているのか伺います。

答弁

(危機管理監)
菅稲田堤3丁目につきましては、令和元年東日本台風の状況を踏まえ、屋外スピーカーの新設に向けて調整を進め、令和3年度の設計を経て令和4年度に工事を完了したところでございまして、避難指示等の発出に際しましては、音量を上げて放送を行ってまいります。また、屋外スピーカーからの放送に伴い、他の地域におきましても、内容が聞こえない、聞き取りづらいなどの御意見をいただく事例もあり、状況に応じて機器の確認や音量の調節等を実施しておりますが、音声による伝達という性質上、天候や風向き、周辺建物の状況等により影響を受けるため、併せてテレホンサービスやメールニュース、防災ポータルサイト等の利用を御案内しているところでございます。
各伝達手段の特徴や役割に応じた防災情報の発信が重要と考えておりますことから、速報性に優れたプッシュ型の手段と、詳細情報の発信に優れたプル型の手段を組み合わせ、効率的、効果的な運用に努めてまいりたいと存じます。

質問

国の三沢川水門の開閉に際して、周辺水量の増減が激しい地域だと周辺住民の不安がかき立てられるところなのですが、住民周知の方法に改善はなされたのか、建設緑政局長に伺いたいと思います。

答弁

(建設緑政局長)
三沢川水門についての御質問でございますが、当該水門の操作時に発せられる警告音につきましては、避難の必要性を地域住民へお知らせするためではなく、水門周辺にいる監視員に向けて安全確保を促すためのものであると国から伺っているところでございます。

質問

ありがとうございます。

それでは関連して、11款1項、各区区づくり推進費、水路維持補修事業費の過去3年間の予算と令和6年度の予算の比較について、各区別に伺います。また、主な管理内容について具体的に伺います。

答弁

(建設緑政局長)
水路維持補修事業費についての御質問でございますが、水路維持補修事業費につきましては、川崎区を除く6区において計上しておりまして、令和3年度から令和5年度までの平均の予算といたしましては、幸区が約1,645万円、中原区が約1,257万円、高津区が約1,487万円、宮前区が約1,551万円、多摩区が約3,129万円、麻生区が約1,773万円でございます。令和6年度につきましては、幸区が約1,505万円、中原区が約1,140万円、高津区が約2,050万円、宮前区が約1,450万円、多摩区が約3,365万円、麻生区が約1,850万円でございまして、幸区、中原区、宮前区では減少、高津区、多摩区、麻生区では増加しているところでございます。主な内容といたしましては、除草や支障となる樹木の伐採、土砂のしゅんせつ、補修等でございます。

質問

我が会派の代表質問でも伺ったところではございますが、改めて伺います。大規模震災が発生した際は、全国的に多くの農業水利施設、主に水路ですが、被害を受けております。本市の水路の現状の耐震能力について建設緑政局長に伺います。

答弁

(建設緑政局長)
水路維持補修事業費についての御質問でございますが、水路につきましては、耐震性を備えておりませんが、震災時にも被害の最小化が図れるよう適切な維持管理に努めるとともに、震災によって水路が破損した場合につきましては、被害箇所を把握した上で障害物の除去や土のうの設置などの応急対策を行い、被害の拡大防止と速やかな雨水排水機能の確保に努めてまいります。

質問

農業水路は雨水排水機能も担っております。この三沢川地区の雨水排水の最大量に対してどの程度が水路を経由するものなのか、上下水道事業管理者に伺いたいと思います。

答弁

(上下水道事業管理者)
雨水排水についての御質問でございますが、現在、三沢川地区の雨水につきましては、大部分が側溝や水路を経由して三沢川に排水しております。

上原

ありがとうございます。U字溝なんかもあるので、水というものはどこからはけているのかというのを考えたときに、結局水路に集まって、水路から排水しているというのがほとんどなんじゃないかなと思いますので、重々御承知おきいただければと思います。

質問

7款4項3目農地整備費について伺います。三沢川左岸においては、大丸用水は重要な雨水排水機能を担うため、丁寧な管理を要します。令和2年第6回定例会にて、大丸用水の利水需要の精査を要望いたしました。特に特定生産緑地の申請状況も踏まえて、その後の進捗について令和4年予算審査特別委員会でも確認させていただきました。現在の需要家の数について伺います。また、不要水路も存在するのではとの地域の声もありますが、その精査状況について経済労働局長に伺います。また、不要水路が発生した際、どのように整理していくのか伺います。

答弁

(経済労働局長)
大丸用水は、多摩川から取水し、稲城市から多摩区内を流れ、三沢川に排水されており、稲城市及び本市農業者が組織する大丸用水土地改良区が農業用水として利用しておりまして、同改良区の本市組合員は現在22名となっております。水路利用の精査につきましては、大丸用水を利用している受益地は27か所でございまして、そのうち25か所が生産緑地や特定生産緑地に指定されておりますが、令和4年度に全受益地に利用状況の調査を行いまして、農業者からは、渇水期でも豊富な水量が得られるなどの御意見をいただきましたとともに、具体的な受益地の位置を現場で確認し、当該位置図を作成して関係局と共有したところでございます。
今後の水路の取扱いにつきましては、大丸用水土地改良区組合員の農地や同用水の利用実態の把握に努めるとともに、同用水は農業用水での利用のほかに多面的な機能を有していることから、関係局と利用状況等を引き続き共有してまいります。

上原

関係局と利用状況等を引き続き共有してまいりますと、もう既に共有済みであると、大変ありがたい御答弁をいただきました。本当にありがとうございます。意見要望を申し上げたいと思いますので、ディスプレーをお願いいたします。ポンプ施設に関わる公表プロセスです。これは地域にちょっと誤った情報が流通しておりまして、地域分断を生みかねないので、行政の皆様がしっかり把握していただくとともに、間違ったことが伝わっていかないように努力をしていただきたいとお願い申し上げます。

標高の話になりましたので、大丸用水の取水口のある南多摩駅付近から稲田堤駅の地図をお示しして、これの断面図を取ったところ、確かに御答弁でおっしゃるとおり、50メーター以下ぐらいのところの標高から菅稲田堤3丁目に至っては27メーターであるということで、当該地域に排水施設が必要であるというのもよく分かりました。
その候補地について、なかなか大きなものが建ってしまうのでといって、住民のアレルギーも多く予想されるのですが、標高27メーター、今オレンジで囲ったところは大体もう全部平たんで27メーターなんですよね。では、どうやってつくるんですかという話ですが、今、菅住宅に隣接している菅第3公園に対して、建つんですよね。結構な面積で建ちますので、これは本当に建てるんですかという話になってくるわけです。もちろん排水需要というのも本当に必要なことですし、御要望申し上げてきたところなので、これに関して異を唱えることはないんですけれども、では、何か別のことを考えられないかといって、既存のポンプ場で言うと、いわゆる水路に対してバイパス水路を取って、そこから水を排出しようといって大きなポンプ場が必要となると、やっぱり面積を取るんです。
これが近年の話というか、川崎市さんはポンプゲートを導入済みですので、よく御承知かと思いますけれども、面積を取らないので水路の上にぼこっと建てて、このまま排水しちゃおうと、こういう話もできるわけです。こういうものも既に検討されたかと思うんですが、住民の間ではこういうものをまだ検討していないんじゃないかと思われてしまうところもございますので、ぜひ検討過程なんかも公表していただければなと思います。
要求能力は8.5立米・パー・セカンドなので、既存水路を活用、最小限の土地取得、安価な建設コスト、短納期ということも考えても、公園を失ってしまうかもということを考えても、やっぱりこのポンプゲートというのは、検討をされた過程が市民に共有されるべきかと私は思います。

危機管理に関してですが、マニュアルを作って、避難所運営支援要員さんを準備して、避難所は全部開けますよと御答弁いただきました。本当にありがとうございます。もう少し言うなら、避難所運営委員にちゃんと共有していただきたい。
運営支援要員は、恐らくですけれども各区の職員に当たるかと思うんですが、顔の見える関係づくりをしていただきたい。多摩区は全避難所開設ということですが、出水期前に改めて周知をお願いしたいということです。水路はほとんどが多摩区、麻生区にあります。予算も足していっていただいてはいるんですが、やっぱり1メーター当たり200円が限界。これは無代下付といって、いわゆる国から無償で譲り受けた土地で、これが地租改正の後、大正11年に無代下付されて、これは無地番なんです。管理するという風習がないまま川崎市はこれを管理してきた。平成12年にはほかの市町村でも無償譲渡されるので、これを、払下げを推進するということに関していろんな自治体が努力するんだけれども、協議が煩雑であったりとか、水路敷が未登記なのでなかなか進まないみたいなことがあるようです。東大の論文があって、無代下付の川崎市についての研究があったので、ちょっと御紹介をと思って出したんですが、無代下付だったが無地番で譲渡されたのが、結局計画上の位置づけも取れないまま売却を積極的に推進する姿勢ではないというふうに外部公表されているところです。
有効活用、そしてしっかりとした管理に取り組んでいただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。