議会報告

令和6年3月7日予算審査特別委員会①

8款7項自然保護対策費について

2024.03.07

質問

近年の急激な気候変化から崖崩れなどが懸念されます。例えば小沢城址特別緑地も過去に大きな崖崩れを起こし広範囲に被害を及ぼしました。昨年の予算審査特別委員会でも伺いましたが、緑地を保全する取組状況について改めて伺います。その上で、令和6年度に計上された関連する費用の考え方を伺います。

答弁

(建設緑政局長)
緑地保全についての御質問でございますが、本市が管理する特別緑地保全地区と緑の保全地域の斜面につきましては、5年に1回専門業者による現地調査を実施し、斜面状況のほか、過去の崩壊履歴、隣接する人家や道路への影響などで点数化し、対策が必要な箇所のランクづけを行っており、必要に応じて対策工事を実施しているところでございます。令和6年度につきましては、多摩区の生田榎戸特別緑地保全地区における斜面地の安全対策などに係る整備として約7,200万円、特別緑地保全地区などにおける草刈り等の維持管理として約4,400万円、ナラ枯れ対策や住宅近接地にある樹木の枝払い、萌芽更新を重点的に行うために約6,700万円を計上しているところでございます。

質問

国土交通省のまちづくりGXの検討状況によると、現在、特別緑地保全地区は開発行為等を規制することで、現状凍結的に保全されていると表現されています。本市の見解を伺います。

答弁

(建設緑政局長)
特別緑地保全地区は、都市緑地法第12条の規定により都市計画法における地域地区として定めるものとされており、地区内では、都市における良好な自然的環境となる緑地において、建築行為などの一定の行為の制限などにより現状凍結的に保全することとされております。緑の保全は本市においても重要であることから、特別緑地保全地区制度をはじめとした様々な制度を活用しながら取組を進めてまいりたいと考えております。

質問

個別論点として、都市近郊で都市の良好な自然的環境を形成している緑地として特別緑地保全地区等に指定された緑地、以下保全緑地と申しますが、落葉広葉樹や針葉樹などから成る二次林が多く、かつての燃料としての木材利用がなくなった結果、里山的管理が行われず、大径木化が進行し、近年は台風による倒木、ナラ枯れ等による被害が頻発しているとされますが、本市の現状と見解を伺います。

答弁

(建設緑政局長)
本市が管理している特別緑地保全地区及び緑の保全地域のナラ枯れ被害につきましては、令和3年度が約570本、令和4年度は約340本、令和5年度は1月末までに約330本の被害を確認したところでございます。ナラ枯れの発生原因につきましては、本市においても、木材利用のための間伐が実施されなくなったことなど、樹林地の管理方法が時代とともに変化してきたことがその一つであると考えております。

質問

保全緑地における維持管理は、公有地化したものでも道路や住宅に隣接する箇所における苦情等に対応した枝打ち等にとどまっており、生物多様性の確保等、保全緑地の効用を発揮するような維持管理が行われる事例は非常に少ないとされています。本市の特別緑地における生物多様性の確保等、保全緑地の効用を十分発揮している取組について伺います。また、この取組が実施されている保全緑地は全体の何割を占めるのか伺います。

答弁

(建設緑政局長)
特別緑地保全地区等に指定された緑地につきましては、本市では、担い手となる地域の方々や民間企業、教育機関等とのワークショップなどを通じて、里山の将来像や保全の在り方についての保全管理計画を策定しておりまして、これに基づく実践的な里山の保全活動を実施することで、将来に向け、生物多様性等を考慮した良好な自然的環境の維持が図られるものと考えております。保全管理計画が策定された箇所につきましては、本年1月末において、特別緑地保全地区と緑の保全地域を合わせた116地区のうち約3割に当たる32地区でございます。

質問

近年、企業やボランティア等による緑地管理の事例も増えておりますが、傾斜が緩やかで作業がしやすい緑地に限定されていることも課題とされています。本市の実態を伺います。

答弁

(建設緑政局長)
本市が管理している保全緑地につきましては傾斜の厳しい斜面地を有している緑地が多く、このような緑地では市民等の活動が難しいため、市が直接管理を行っている状況となっております。

質問

これまでに5年に1度の目視で点検をするということに対して問題はないとの答弁をいただいておりますが、地域の住民の不安感は拭えない旨を議場でもお伝えしてまいりました。また、立入りに不安があるような緑地では、地域住民のウエルビーイングの向上に資すことはないと考えます。そのような中、先月の自民党総務会で都市緑地法改正案が了承されました。まちづくりGXに向けた取組を強化するのが狙いとのことです。国主導による戦略的な都市緑地の確保、貴重な都市緑地の積極的な保全、更新、緑と調和した都市環境整備への民間投資の呼び込みの3本柱となっています。具体的には国土交通大臣が都市における緑地の保全等に関する基本方針を策定するほか、緑地機能の維持増進を図るために行う再生整備を機能維持増進事業仮称として位置づけました。機能維持増進事業が事業化された際、特に特別緑地保全地区においては、機能維持増進事業に係る手続が簡素化されるとのことです。本市の特別緑地保全地区は81か所、140ヘクタールほどありますが、本市が抱える課題のうち解決し得るものについて具体的に伺います。

答弁

(建設緑政局長)
本市の特別緑地保全地区につきましては、住宅に近接する緑地が多いことから、緑地周辺の樹木の枝払い等を中心に維持管理を行っておりますが、緑地周辺をはじめ緑地全体の樹木が大径木化するなどの課題があり、維持管理への負担が大きくなっているところでございます。国が新たに創設した補助制度につきましては、本市が抱える課題にも活用が見込まれることから、保全された緑地全体の維持管理の充実につながるものと考えているところでございます。

質問

こうした国の緑地行政の動きについて、どのように把握し、事前に準備を進めていらっしゃるのか伺います。

答弁

(建設緑政局長)
今回の都市緑地法の改正に伴う新たな補助制度につきましては、令和5年12月に国から示されたところでございまして、国土交通省へのヒアリングなどを通じて詳細な内容について確認を行うなど、令和6年度からの制度の活用に向けて現在準備を進めているところでございます。

上原

ありがとうございます。現場のほうは相当準備が進んでいらっしゃるようなことを聞いておりますので、しっかりと取っていただきたいと思います。特に都市緑地、大径木化、それに対して手入れができない、結果としてナラ枯れ、この順序かと思うのですが、これに対して都市緑地ならではの回答が川崎市から出せればと私は望んでおります。よろしくお願いします。