議会報告

令和5年9月13日代表質問⑥

令和4年度一般会計・特別会計の決算について

2023.09.13

質問

令和4年度一般会計・特別会計の決算について伺います。
一般会計決算は、歳入総額が約8580億円に対し、実質収支額は19億4000万円となりました。令和2年度、3年度とコロナ禍において緊急時の対応を迫られる中での財政運営が行われ、令和4年度においても、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、新型コロナウイルス感染症に対応した財政運営が進められました。
コロナ対応を除いた歳入・歳出規模、新型コロナウイルス感染症が本市の財政に及ぼした影響について伺います。

答弁

(財政局長)
歳入総額が8,580億100万円、歳出総額が8,506億円でございまして、このうち、新型コロナウイルス感染症への対応に係る事業費は、597億8,200万円となっており、これを除いた歳入総額は7,982億1,900万円、歳出総額は7,908億1,800万円となるところでございます。

次に、本市財政への影響についてでございますが、新型コロナウイルス感染症への対応が本格化した令和2年度以降、歳出につきましては、ワクチン接種やPCR検査などの「感染症対策」や、各種給付金の給付や川崎じもと応援券の発行、市内中小企業者への支援の取組などの「市民・事業者への支援」事業の実施などにより、決算規模は、コロナ禍前と比較して大きくなったところでございます。

また、歳入につきましては、令和3年度は、当初予算では、感染症の影響による景気の落込みに伴う市税の大幅な減収を見込んでおりましたが、決算では、国の緊急経済対策の影響などにより、見込んでいたほどの減収とはならなかったほか、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をはじめとした国庫支出金が増となったことなどにより、決算規模は、コロナ禍前と比較して大きくなったところでございます。

質問

歳入の根幹である市税は、所得の増加による個人市民税の増などにより、2年ぶりの増となり過去最高を更新しました。個人市民税の増は、官民が一体となって取り組んできている構造的な賃上げの成果で、賃上げによる個人所得の増加に伴い、住民税が増えたことも要因であると推察されます。所得の増加による個人市民税の増の詳細な分析について見解を伺います。

答弁

(財政局長)
令和4年度当初予算では、厚生労働省が行う毎月勤労統計調査等の指標を参考に、納税義務者1人あたりの所得金額について、前年度と比べて1万7,000円増の416万1,000円と見込むなど、1,737億9,300万円としたところでございます。
令和4年度決算では、令和3年の冬季賞与が見込みを上回ったことなどにより、納税義務者1人あたりの所得金額が、前年度と比べて9万9,000円増の424万3,000円となり、個人市民税額は、前年度と比べて、50億9,700万円増の1,809億4,200万円で、市税全体の47.8%を占める重要な財源となっております。

質問

新増築による固定資産税の増については、所得の増のほか、人口増も影響していると思われます。実施計画の策定に向けた将来人口推計では、本市の人口は令和12年頃に約160万人となりピークを迎えることとなっておりますが、令和3年度は対前年度比で、2078人の増、令和4年度は550人の増であり、今年度は人口増の陰りが顕著となっています。
人口推計の見直しの必要性と財政運営への影響、収支フレームの見直しについて伺います。

答弁

(総務企画局長)
今後の人口動態につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響や社会変容等、一定期間の社会動向を踏まえ、傾向を見定める必要があると考えております。
今後も、転出入の状況や開発動向など、人口動態に影響を与える要因を注視しながら、引き続き見直しの必要性について検討を行ってまいります。

(財政局長)
令和4年度決算における市税収入は、納税義務者1人あたりの所得の増による個人市民税の増収等により、当初予算を上回ったところでございますが、人口動態は納税義務者数の増減要素となり、市税収入に一定の影響を及ぼすことから、今後も推移を注視していく必要があるものと考えております。
収支フレームにつきましては、人口推計のほか、国の「中長期の経済財政に関する試算」等を基礎データとして活用し、総合計画・実施計画や行財政改革プログラムの取組を反映して策定しており、今後も、実施計画等の策定とあわせて改定を行ってまいりたいと考えております。

質問

臨海部における国際戦略拠点の形成や大規模な土地利用の転換により、成長が見込まれる分野の産業振興の取組を進めてきておりますが、税収増など令和4年度決算への影響について伺います。

答弁

(臨海部国際戦略本部長)
川崎臨海部は、戦後の高度経済成長期に重厚長大産業を中心に飛躍的な発展を遂げ、日本経済を支えてまいりましたが、90年代以降の産業構造の転換が進展する中においても、持続的な発展を目指し、戦略的な産業集積と基盤整備を推進してきたところでございます。

そのような取組を進め、殿町国際戦略拠点の形成においては、高度な研究開発機能の集積などの土地利用転換を推進し、活発な民間投資を促進するとともに、高度人材の雇用創出を図ることで、市内経済の活性化を通じて、税源の充実を図り、市税収入の確保につながっているものと考えております。

今後は、大規模土地利用転換につきましても、民間投資を戦略的に呼び込み、臨海部の持続的な発展を図ることにより、税収の確保等につなげてまいりたいと存じます。

質問

川崎大師、ミューザ川崎を始め等々力緑地、藤子・F・不二雄ミュージアムや、さらにラゾーナ川崎やグランツリー武蔵小杉など、市外からの来訪者が増加しております。来年は川崎大師の10年毎の大開帳奉修(赤札授与)の年でもありより多くの方々が川崎を訪れます。こうした動きを商店街の活性化や税源涵養に繋げていくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁

(経済労働局長)
本市には川崎大師や藤子・F・不二雄ミュージアムをはじめとした全国的に有名な観光施設や大規模商業施設等、魅力的な地域資源が数多くあり、今後もスペルノーヴァ川崎等、新たな施設が開業する中で、これらを訪れた方々が周辺の商店街等で飲食や買い物を行い、地域経済の活性化に繋げることは重要であると考えております。

コロナ禍が落ち着き、国内をはじめ海外からも来訪者が増加していく中、こうした来訪者を地域の商店街等へ誘導するため、商業施設や宿泊事業者、飲食業者等と連携し、川崎ならではの食文化を発信する川崎ナイトマーケット「川崎夜市」を実施する等、地域と一体となった取組を行っているところでございます。

今後におきましても、羽田空港との近接性を活かし、川崎に立ち寄りたい、滞在したいと思わせる魅力あるコンテンツの開発に取り組むとともに、地域で行われる魅力あるイベント等については、大型商業施設や交通事業者などと連携した広報等を行うことにより、商店街等への誘客につなげ、消費拡大や税源涵養を図ってまいります。

質問

ふるさと納税により、市税の流出額は加速度的に年々拡大しています。令和4年度の流出額は、過去最高の約104億円となった一方、寄附額については決算額が約6億円で昨年度の約9億円を下回る結果となっております。ふるさと納税は、自治体は納税者の「志」に応えられる施策を向上し、一方で、納税者は地方行政への関心と参加意識を高めるものでありますが、寄附の状況と今後の対策について伺います。

答弁

(財政局長)
ふるさと納税についての御質問でございますが、本市の寄附受入額につきましては、令和3年度は9億2,631万円余、令和4年度は6億3,008万円余で、2億9,622万円余の減となっているところでございますが、これは、令和3年度に1件5億円の寄附があったことによるものでございまして、ポータルサイトを活用した寄附につきましては、令和3年度は3億5,138万円余、令和4年度は5億8,790万円余となっており、着実に増加しているところでございます。

今後につきましては、寄附受入額の拡大に向け、市内の大手企業を含めた様々な団体や企業と連携し、多くの需要が見込まれる生活必需品などの、寄附受入額の拡大に繋がる魅力ある返礼品の充実に取り組むとともに、多くの方に本市の魅力に触れていただく機会を増やせるよう、ポータルサイトの拡大について検討してまいります。

質問

歳出における扶助費ですが、決算額は約2386億円で前年度の約2390億円を下回りました。子育て世帯への臨時特別給付金事業の減によるものと推察しますが、こうした臨時的な支出を除いた扶助費の動向と今後の見込みについて伺います。
エネルギーや原材料などの価格高騰、円安の進行などにより、物価の高騰が続いています。令和4年度における公共事業への影響と今後の見込みについて伺います。
燃料費、水熱光熱費も上昇しておりますが、令和4年度決算における影響と対策及び経営に影響が及んでいる会計はないのか伺います。

答弁

(財政局長)
扶助費につきましては、臨時的なものを除いた、保育事業費や障害者(児)介護給付等事業費等の社会保障関連経費は、前年度に比べて増加しており、今後におきましても増加が見込まれるところでございます。

次に、物価高騰につきましては、契約金額の増など公共事業へも影響があったところでございまして、これらについては、補正予算などにより必要な措置を行い、適切に対応してきたところでございます。現在も円安などが続いており、先行きが不透明な状況が見込まれますが、今後も社会経済状況の変化に的確に対応してまいります。
次に、光熱費につきましては、一般会計の決算額は、約49億円で前年度から約17億円の大幅な増となっております。こうした状況は、特別会計や企業会計においても同様であったことから、必要な会計につきましては、補正予算などにより適切に対応し、結果として、赤字決算となった会計は無かったところでございます。

質問

新型コロナウイルス感染症対応において顕著でありますが、本市にとって必要となる事業やサービスを推し進めていくためには、国の財源措置を活用していく事も必要と考えます。本市の体制及び市長自らの行動について伺います。

答弁

(市長)
国の財政措置につきましては、安定的な行財政運営を行っていくために大変重要と認識しているところでございまして、その獲得に向け、国の動向を的確に把握し、事業ごとの補助制度等を十分に研究して、積極的な導入に努めるよう各局長に指示しているところでございます。

また、本市独自や指定都市市長会等により、例年行っている国の予算編成に対する要請において、適切な財政措置を求めているところでございます。
今年度におきましては、6月から7月にかけて、私自ら、総務大臣や地元選出の国会議員に対して直接要請を行ってまいりました。これに加えまして、副市長、局長においても、関係省庁に対し要請内容の説明を実施したところでございます。

今後につきましても、必要な政策・施策を着実に推進していくため、全庁一丸となって財源の確保に向けた取組や国の制度変更への的確な対応を進めてまいります。