議会報告

令和3年9月14日第3回市議会定例会代表質疑

川崎市立看護大学条例と奨学金について

2021.09.14

第3回市議会定例会代表質疑に登壇し、議案について質問しました。

質問(上原)

自由民主党川崎市議会議員団を代表して、ただいま議題となりました議案について順次質問をしてまいります。

はじめに、議案第155号、川崎市立看護大学条例の制定についてです。

看護資格を取得することのできる、新設の公立四年制大学は、看護師不足が社会課題となっている現況では、大きく注目されると考えられます。議案には、設置趣旨として、医療の高度化、医療ニーズの多様化に的確に応え、地域包括ケアシステムに資する看護人材を養成し、地域に還元することを目的とされ、特に、運営費用については、これまでも諸々議論を重ねて参りました。そこで、総括として、本市が四年制大学を設置すること、育成資金とするなどの年間運営費用に見合う費用対効果を含め、市民が納得し得る設置意義を伺います。

答弁

はじめに、看護大学設置の意義についてでございますが、「看護基礎教育における教育の質を高め、医療機関はもとより地域の様々な場で活躍することができ、地域包括ケアシステムに資する人材を養成」することを目指しているところでございます。また、大学運営費のシミュレーションにおいては、年間運営費用は、短期大学では約5億2千万円、看護大学では約7億4千万円となっておりますが、充実した教育により高度な知識と技術を身に着けた看護職を養成し、地域社会における健康と福祉の向上に貢献することを目指してまいりたいと存じます。

質問(上原)

主旨本文に、医療ニーズの多様化に的確に応える旨の記載がありますが、医療・介護にまたがる様々なニーズに対して、将来的な他学部への展開について、本市の考えを伺います。

答弁

将来的な他学部への展開につきましては、多様化する医療・介護ニーズに的確に応えるための人材育成を視野に入れながら、社会情勢の変化等に注視してまいりたいと存じます。

質問(上原)

地域包括ケアシステムに資する人材像の考え方とその育成については、とりわけ保健師の育成と本市への定着の重要性が高いと考えられます。各年30名募集が予定されている保健師コースの学生ですが、卒業後、医療現場を知り、さらに、本市内の各地域で働く機会を提供し、実力を身に着けるためのキャリア形成支援の方針と課題について伺います。

答弁

保健師の育成についてでございますが、看護師の能力を兼ね備えた予防医療のスペシャリストとして、複雑化する地域社会に対応し、地域包括ケアシステムに資する看護職となるためには、多様なキャリア形成が必要と考えております。看護大学においては、保健師課程の実習先として、保健所に留まらず、小中学校、民間企業、児童相談所や児童養護施設を確保しておりまして、これらの様々な実習先を経験することで、地域で活躍するための土台を形成するものと考えております。また、卒業後におきましても、看護師としての高度な知識や技術を保ちつつ、地域で活躍することが望まれるものでございますので、卒後のキャリアの発展についても検討してまいりたいと存じます。

質問(上原)

本条例では施設概要にも触れています。文部科学省から認定されている以上、四年制大学の基準は十分に満たしていることと推察されます。一方で、先日、現地を視察いたしましたが、構造上の講堂・教室の使いにくさ、教員間の意思疎通を図るための導線など、現場からは諸課題が見えていると考えられます。ハード面での課題について伺います。

答弁

ハード面の課題についてでございますが、開学に伴う学生数や専任教員数の増加に対応するため、今年度、講義室の拡張や、研究室の増設などの改修工事を実施したところでございます。一方で、講義室の形状によっては、後方に座る学生と講師との距離などの課題もございますので講義室の中間にモニターを設置したほか、教室の机や椅子を自由に移動できるような工夫をしたところでございます。授業運営におきましては、各授業を担当する教員間で十分にコミュニケーションを図りながら、効果的な授業の実施に取り組んでまいりたいと存じます。

質問(上原)

立地とアクセスについてです。当大学は、短期大学時代と比較して定員が増加します。交通アクセスも必ずしも充実しているとは言えない中、地域交通も多少の影響は考えられます。また、東西に細長い形状の本市の中でも、特に市西部または北部からのアクセスの悪さは、市内学生の応募を阻害する要因となると考えられます。当大学の交通インフラに対する認識と今後の方針について伺います。

答弁

交通インフラについてでございますが、より広い地域から優秀な学生を確保するためには、主要駅からのアクセスの良さも大きな要素であると考えております。そうした中、日本学生支援機構の調べによると片道通学時間について、全国の大学生の5割程度が1時間から2時間を要しており、看護大学の立地は他大学と比べ、特段劣る環境にはないものと認識しております。今後につきましては、学生の通学の実態等に注視し、必要な対応をしてまいりたいと存じます。

質問(上原)

立地とアクセスに関連して看護実習についても伺います。四年制化することで、実習機会も、これに参加する生徒も増加することが予測されます。実習先とのアクセス、実習先の確保について、その見通しを伺います。

答弁

実習先につきましては、市立3病院をはじめ、市内の病院・施設を中心に、公共交通機関を利用して学生が困難なく通うことができる場所を確保したものでございまして、他大学においては泊りがけや交通が困難な地域での実習を実施しているところもあると伺っており、恵まれた実習先を確保出来たものと考えております。

質問(上原)

本条例案では、看護短期大学については令和4年4月に募集停止、令和6年3月に閉学予定とされています。その間、四年制大学生と短期大学生とが同じキャンパスに通う事になります。教育面での課題について伺います。

答弁

大学生と短期大学生の教育につきましては、カリキュラム内容や学ぶ年数の違いはあっても、ともに将来に向け看護師として活躍していただく貴重な人材であり、学校として適切に教育する義務がございます。大学設置認可申請を行う上で、教室等は支障なく授業運営できることを確認しているところでございまして、双方の交流にも努めてまいりたいと存じます。

質問(上原)

議案第156号についてです。

新たな奨学金は、いわゆる成績優秀者に対して支給・貸与するものですが、他の公立大学と比較した競争優位性について伺います。

答弁

奨学金についてでございますが、看護大学における新たな奨学金制度につきましては、優秀な学生の確保と卒業生の川崎市内医療施設等への就職及び定着を目的としているところでございます。入学者選抜における成績優秀者を対象にした奨学金につきましては、近隣の公立大学において実施しているところはなく、また川崎市内医療施設等への就職、定着によって貸付金の免除を行う奨学金につきましても、他の多くの公立大学においては実施していないことから、新しく開学する大学として、他の公立大学にはない魅力を発信できるものと考えているところでございます。

質問(上原)

また、学費についてですが、学費収入は大学運営費用に比較すると大きな部分を占めるとは考えにくく、より優秀な生徒を募集するためにはより低廉な学費設定や、下宿等の斡旋・支援などの取組も一案と考えられます。見解を伺います。

以上で、質疑を終了します。

答弁

学費設定についてでございますが、全国の公立大学における学費設定につきましては、国の省令の基準額を参考に設定しており、近隣の公立大学におきましても概ね基準額どおりの学費設定を行っていることから、今後、国及び近隣公立大学等の動向を注視してまいります。また、下宿等の斡旋・支援につきましては、学生の居住状況等を注視してまいりたいと存じます。