議会報告

令和4年9月29日決算審査特別委員会①

川崎市自動車運送事業会計の運輸雑収益について

2022.09.29

録画映像
https://www.kensakusystem.jp/kawasaki-vod/video/R04/R040929-15-11.html

・ 川崎市自動車運送事業会計の運輸雑収益について

質問

令和3年度川崎市自動車運送事業会計のうち、運輸雑収益について伺います。そのうち広告事業ではラッピング広告などに加えて、令和3年度から車両額面貸切広告も始めました。広告種別収益を伺います。また過去の事業年度と比較して、令和3年度広告事業の総括をお願いします。

答弁

(管理課長)
主な内訳としては、停留所名併称広告が2,220万円余、ラッピング広告が1,716万円余、車外後部広告が840万円、車内額面広告が751万円余でございます。

また、令和3年度の決算額は、7,120万円余、新型コロナウイルス感染拡大前の令和元年度決算額は、7,632万円余でございまして、令和元年度と比較いたしますと車内額面広告が485万円余減少しているところでございます。
そのため、車内額面広告において、新たな取組が必要と認識しており、その一環として、令和3年度から車内額面貸切広告を新たに取り入れるなど、需要の喚起を行ってきたところでございます。

質問

実際に広告を申し込むためには、広告主はどのように発注すればよいのか、手続きを伺います。また令和3年度ではどの程度利用されているのか、広告事業のポテンシャルについて伺います。

答弁

(管理課長)
掲出を希望する広告主は、原則、交通局指定広告取次人である広告代理店を介して、当局に申込みを行っていただいているところでございます。
次に、令和3年度の主な広告の申込件数につきましては、停留所名併称広告が297件、ラッピング広告が25件、車外後部広告が66件、車内額面広告が71件でございます。また、令和3年度から開始した車内額面貸切広告につきましては、16件の申込があり計45両のバスに掲出し、一定の効果があったところでございます。

市バスにおける広告事業につきましては、通勤・通学等で御利用のお客様の目につきやすい優位性や、地域に根差した情報発信ができる魅力があるものと考えておりますので、そのポテンシャルを活かしながら取組を進めてまいります。

質問

事業報告書では、市バスのネットワーク形式が例年掲げられています。令和3年度の主な成果について伺います。

答弁

(運送課担当課長)
令和3年度におきましては、令和4年2月に、新城駅、蟹ヶ谷及び井田病院から、武蔵小杉駅や川崎駅西口を結ぶ新城線の再編を実施したところでございます。この再編により、新城駅・蟹ヶ谷周辺地域から武蔵小杉駅への接続及び幸区日吉周辺地域から井田病院などへの接続が充実したものでございます。

また、3月には、小杉駅前から、市民ミュージアム・府中街道を経由して溝口駅前を結ぶ等々力線において、経路変更を実施したところでございます。この経路変更では、民営バスが多く運行する府中街道を経由していた経路を、都市計画道路宮内新横浜線を経由し、南武沿線道路を通る経路に変更することで、中原区宮内周辺地域から武蔵新城駅への新たなアクセスの確保と溝口駅への速達性など、利用者の利便性向上を図ったものでございます。

質問

先日委員会視察として、大阪市のMaaSのうち、オンデマンドバスの取り組みを視察しました。本市ではMaaSの取り組みを、主にまちづくり局で所管しているのが実態かと思います。これまでのMaaSの取り組みについて、まちづくり局に伺います。またこれらの取り組みと、市バスネットワーク形成との連携、あるいは役割分担について、合わせて伺います。

答弁

(まちづくり局企画係長))
これまでの取組につきましては、小田急電鉄やタクシー事業者等と連携し、令和2年及び3年に、新百合ヶ丘駅周辺において、MaaSアプリEMotを用いてオンデマンド交通の実証運行を実施するとともに、登戸・向ヶ丘遊園駅周辺において、小田急電鉄がEMoTを活用し、生田緑地入園券や市バス一日乗車券をセットにした「生田緑地おでかけチケット」を令和3年3月から販売しているところでございます。

次に、交通ネットワークの形成に向けましては、令和2年度策定の「川崎市地域公共交通計画」の中で、民間事業者等と積極的に連携しながら、MaaSやオンデマンド交通等の新技術・新制度を活用し、実証実験を通して、より利用しやすい地域公共交通環境の整備に取り組むこととしております。

質問

大阪市は、市営地下鉄、市営バスを民有化するほか、AIなど最新技術を用いて、新たなMaaSの形を模索しています。報道等によると、動機は経営の継続性に対する危機感について触れられています。そのほかにも、公共交通機関運営主体が危機感を持って、未知の領域にチャレンジしています。本市も値上げ認可が降りたばかりですが、本誌のバス事業の経営姿勢について伺います。

答弁

(経営企画係長)
市バスでは、今後も厳しい経営状況が想定される中、本年3月に「川崎市バス事業経営戦略プログラム(後期計画)」を策定し、利用動向や、民営バスとの路線の重複状況等の要因を踏まえた運行計画の見直しなどによる費用削減に取り組むとともに、収入の確保に向け、料金改定の実施に加えて、既存の広告媒体の活用や、新たな広告媒体の検討を行うなど、収益性事業の推進を図っているところでございます。

このような取組の推進により、持続可能な経営基盤を構築することで、今後も公共交通や公営バスとしての役割を果たし、市民やお客様の大切な交通手段を確保してまいりたいと考えております。

意見

(上原)
広告ですが、1年間で60万円から100万円程度ととても安いと感じます。他の自治体やバス会社を調べてみると、おおよそ下限値に近いのではないかと思います。需要と供給の問題なので、現段階では妥当なのでしょうが、それではなぜ売れていないのかについてしっかりと検討をしていただけるよう要望します。特に、広告を申し込むには指定の広告代理店に申し込まねばならないのですが、市内業者が一社もいません。市内の広告主への営業活動も十分ではない可能性があります。早急に営業体制の見直しが必要と考えられます。

また広告収入はいくらになればよいのか、収益企業ではないので、目標を定めづらいと思いますが、仮に今回値上げの効果を4%程度とすると、2〜3億円積み増せばよいでしょうし、他の自治体でも運送収益の5%にも迫る売り上げを上げている事例を考えても、やはり後2〜3億円。絵に描いた餅ではありますが、317台の市バス全車で広告が取れればその程度の金額にはなります。

一方で、交通ネットワーク維持に関しては日々頭をひねられていて、それでも市民要望に応えきれない実態がある点については、大変なお骨折りをいただいていると感じています。厳しい現場予算でしのがれていることとは思いますが、それを続けてもいずれ限界がきます。

そんな中、まちづくり局でもネットワークの隙間を埋める新たな取り組みを続けていただいていますが、未だルーチンのネットワークに位置付けられるものは出来ていないというのが現状かと思います。また公共交通計画の更新で、交通局とまちづくり局のコンセンサスを図るのでは、未だ形になっていない地域交通を形成する上では、スピード感や柔軟性に欠けると思われます。

交通局には、まちづくり局の動きと連携しつつ、まずはやれることから、広告料収入を上げておくこと、そのために市内広告代理店を起用し、市内企業の広告需要を早急に取り込むことを要望し、質問を終わります。