議会報告

令和5年6月21日代表質問④

川崎カーボンニュートラルコンビナートの取組について

2023.06.21

質問

グリーンイノベーション基金事業「大規模水素サプライチェーンの構築プロジェクト」の一環として、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構と市内民間事業者等が、液化水素サプライチェーンの商用化実証に取り組んでいます。
本年3月には、液化水素の受入地として選定されました。この実証実験では、主な需要家を発電所としています。実証実験を終える2031年頃以降、その発電量は100万キロワットと、おおよそ原発一基分に匹敵するものを目指しています。またこれを実現すべく、事業者は、本市臨海部では受入基地の大規模な整備が進むと考えられます。

受入地で開発される施設規模と、施設整備に伴う税収への影響について見解を伺います。

答弁

(臨海部国際戦略本部長)
本実証につきましては、国のグリーンイノベーション基金を活用して実施されるものでございまして、受入地の施設規模については、5万㎥の液化水素タンク1基とそれに付随する設備の設置が予定されております。

施設整備に伴う税収への影響につきましては、現在、実施主体である日本水素エネルギー株式会社を中心に、建設工事及び実証運転の開始に向けた技術調査を実施している段階であり、事業者による具体的な投資決定がなされ、施設が整備された際には、固定資産税等の増につながるものと考えております。

質問

本市として、事業者側から求められる可能性のある交通あるいは港湾などの事業環境の整備の考え方について伺います。

答弁

(臨海部国際戦略本部長)
交通等の基盤整備の考え方につきましては、扇島地区での実施を想定し、一般道路及び高速道路アクセス整備やバースについて、実証運転の開始に合うよう、国や関係事業者と検討・調整を進めることとしております。

質問


実証実験段階での発電所の場所や規模について伺います。

答弁

(臨海部国際戦略本部長)
発電所の場所等につきましては、本実証事業の対象が受入基地の整備までとなっており、現時点では水素の需要先となる発電所は示されていないところでございます。本市といたしましては、川崎カーボンニュートラルコンビナート構想に基づき、実証の実施主体となる事業者とともに水素需要拡大に向けた企業間連携の取組を引き続き進めてまいります。

質問

本市市民生活への影響についてです。経済産業省によると、2030年には、水素の引き渡し価格は、1kwhあたり17円相当を目標とし、さらに将来的にはこれを12円とすることを目指すとあります。受入地に選定された本市の市民の電気代が安くなるなどの、具体的なメリットは考えられるのか伺います。

答弁

(臨海部国際戦略本部長)
気候変動問題の危機的状況を背景に、カーボンニュートラル化が世界的な潮流となっており、産業活動においてもその対応が求められております。

液化水素サプライチェーンの受入地として選定され、CO2フリーな水素が全国に先駆けて供給されることは、川崎臨海部に立地する企業のカーボンニュートラル化に寄与するものであり、産業競争力の強化につながる取組と考えております。

こうした取組を通じ、社会経済環境や産業構造の変化に柔軟に対応し、税収や雇用の確保を安定的なものとしてまいりたいと存じます。

質問

今回の実証実験で供給が予定されている水素の輸入元であるオーストラリアでは、石炭からの発電を主としています。受け入れる水素は、カーボンニュートラルという観点からは、グレー水素なのか、あるいは適切に二酸化炭素排出を抑制したブルー水素なのか、その製造方法について伺います。

答弁

(臨海部国際戦略本部長)
実証事業に取り組む事業者によりますと、実証時の水素は、豪州ビクトリア州の褐炭から製造されるものでございまして、その際に排出されるCO2につきましては、分離・回収し、製造地近隣に貯留する計画とされております。

国際エネルギー機関は、ブルー・グリーンといった色によらない、CO2の排出量を基準とする「炭素集約度」の重要性を示しており、国においても6月6日に改定した水素基本戦略において、カーボンニュートラルを着実に進めるに当たり、水素製造における、CO2排出量が一定数値以下の水素を低炭素水素と示しております。

こうしたことを踏まえ、本実証において川崎臨海部で受け入れる水素につきましては、これに沿った水素になることを見込んでおります。

質問

今回の実証実験の本質は水素商用流通の実証実験であり、その根幹はクリーンエネルギー利用が目的かと思います。臨海部での二酸化炭素排出量の大幅削減を標榜する中、今回の大型受入地として選定されたことについて、本市の脱炭素戦略との整合性について環境局長に伺います。

答弁

(環境局長)
本市では、脱炭素戦略をさらに加速させる取組を位置づけた地球温暖化対策推進基本計画を策定し、川崎臨海部のカーボンニュートラル化を、特に事業効果の高い5大プロジェクトの一つとして掲げ、水素利用や炭素循環などの実現に向けて企業と連携したプロジェクトを推進していくこととしております。

市域の温室効果ガス排出量の約8割を排出し、また首都圏全体の一般家庭の消費電力を上回る大規模なエネルギー供給拠点である川崎臨海部における今回の「液化水素サプライチェーンの商用化実証」は、水素等のカーボンニュートラルなエネルギー供給拠点の形成に向けた取組であり、川崎を含む首都圏の脱炭素化に向けて大きく貢献できるものと考えております。