議会報告

令和5年9月25日決算審査特別委員会②

水道事業会計、下水道事業会計について

2023.09.25

質問

水道事業会計、下水道事業会計、それぞれの資産明細書のうち、特に土地について伺いたいと思います。本年度の各資産の簿価は前年とほぼ同額ですが、過去に比較的大きく変動したのはいつなのか、また、変動要因は何か伺いたいと思います。

答弁

(管財課長)
固定資産明細書についての御質問でございますが、地方公営企業法施行規則においては、資産につきましてはその取得原価をもって帳簿価額とすること、土地につきましては償却を行わないことが定められておりまして、土地は取得または処分しない限りは価額が増減することはありません。過去10年間において大きく価額が変動した要因につきましては、水道事業では、平成29年度に第1導水隧道用地を無償譲受にて取得したこと、下水道事業では、令和2年度に入江崎総合スラッジセンター更新用地を無償譲受にて取得したことによるものでございます。

質問

御説明のとおり、地方公営企業法上では時価会計しません。ただ、これをしなくとも有効活用方法の妥当性を検討する必要がある。そうすると、やっぱり現在の資産に対してどの程度収入があるのか、利回りといった観点が不可欠かと思いますが、見解を伺いたいと思います。

答弁

(経営戦略・危機管理室担当課長)
有効活用方法の妥当性についての御質問でございますが、資産の有効活用に当たりましては、地方公営企業として収益性を確保するということが大前提でございますが、公有財産、公共用地として市民共通の貴重な資源、財産でありますことから、行政需要への対応や地域課題等の解決によるまちづくりへの貢献など、多様な観点により妥当性を判断しているものでございます。

質問

多様な観点と御答弁いただきました。固定資産の使用を許可する場合の使用料の定め方について具体的に伺います。また、利回りの観点を無視しないとするならば、時価会計とまではいかなくても、ある程度の現在価値の把握は必要かと思いますが、見解を伺いたいと思います。

答弁

(管財課長)
固定資産の使用料及び現在価値についての御質問でございますが、固定資産の使用を許可する場合の使用料につきましては、川崎市上下水道局固定資産使用料算定要綱に基づき、当該使用部分に係る3年ごとに更新される固定資産税路線価に一定の割合を除し、1,000分の2.5を乗じて得た額に当該土地の使用面積を乗じて得た額とすることを原則としていることから、現在価値を反映させた額となっているところでございます。

質問

次に、低未利用土地の現状について伺いたいと思います。これら資産を有効活用するに当たり、本市においてはどのような組織体制で検討、実施していくのか伺います。その際にどのような手法が検討対象となるのか、考え方を伺います。また、他市では土地貸付のみならず、下水暗渠への電線設置――暗渠貸しですよね――などで収益化されている事例も多いようですが、既に使用中の資産のさらなる有効活用の考えはあるのか、伺いたいと思います。

答弁

(危機管理室担当課長)
資産の有効活用についての御質問でございますが、初めに、低未利用地の現状につきましては、主なものとして削井跡地や稲田水源地跡地などがございまして、事業の用に供することがなくなったため施設を撤去し、更地にしているところでございます。次に、有効活用に係る組織体制につきましては、令和3年度から経営戦略・危機管理室に資産マネジメントに係る企画及び総合調整を担う担当部署を設置するとともに、新たに局職員で構成する資産マネジメント推進委員会を立ち上げ、局で所有する低未利用地などの有効活用について検討を行っております。次に、有効活用の検討手法につきましては、原則として関係局と連携しながら、行政需要の有無を確認した後、需要がないものについては、民間活用(川崎版PPP)推進方針に基づき、有効な活用アイデアについて民間との対話を行うなど、有効活用策を検討することとしております。次に、常に使用中の資産のさらなる有効活用につきましては、当市においても、地形や水位の高低差を利用した小水力発電による売電や下水道暗渠内に設置した光ファイバーケーブルを市長事務部局などに使用許可することにより収益を確保しているところでございますが、今後も、土地の貸付けのみならず資産のさらなる有効活用の可能性について、引き続き調査検討してまいります。

質問

ここまでの議論の総括として、資産の有効活用の対象となる施設について具体的に伺います。

答弁

(経営戦略・危機管理室担当課長)
資産の有効活用の対象施設についての御質問でございますが、今後、有効活用を検討していく主な施設としましては、削井跡地や稲田水源地跡地などがございますが、削井跡地につきましては、9か所のうち1か所は既に公園用地として建設緑政局に使用許可を行っており、残りについては、現在、有効活用策を検討しているところでございます。稲田水源地跡地につきましては、今後、多摩川の堤防内に残っている取水管等の国への依頼による撤去工事において工事ヤードとして使用することを予定しておりますので、撤去工事完了後に有効活用できるよう検討を進めてまいります。

質問

中野島の削井跡地については、昨年度、PPPにて意見公募を行ったと伺っております。意見公募の経緯について伺います。また、今後の検討の方向性について伺います。あわせて、菅の削井についてはどのように有効活用を図るのか伺います。

答弁

(管財課長)
中野島削井及び菅削井跡地における有効活用などについての御質問でございますが、中野島削井跡地につきましては、局内で事業の用に供することがなくなったことから、局内利用照会や関係局を通じた利用照会を実施しましたが、新たな行政目的が生じなかったことから、昨年度に民間活用(川崎版PPP)推進方針に基づき、有効活用のアイデアについて民間との対話を行うことといたしました。その中で、民間事業者からは駐車場として活用することが最適との御意見をいただいたところです。今後の検討の方向性につきましては、駐車場を含め、新たな利用方法について局内で検討しているところでございまして、年度末を目途に最適な有効活用策を決定してまいります。次に、菅削井跡地における今後の検討の方向性につきましては、新たな行政目的を確認した後、民間活用(川崎版PPP)推進方針に基づき、民間事業者の意見を参考にしながら幅広く有効活用策を検討してまいりたいと考えております。

質問

また、削井については、災害時の生活用水の供給拠点となっているものもありますが、これらの給水可能量と供給可能戸数の想定について伺います。削井は多摩区に集中していますが、市域全体への供給拠点として妥当なのか伺いたいと思います。

答弁

(水道計画課長・経営戦略・危機管理室担当課長)
災害用の削井についての御質問でございますが、水道水源としての利用を廃止した多摩区の削井16か所のうち、水質が良好な7か所につきまして、臨時給水用井戸として有効利用を図っているものでございます。初めに、給水可能量等につきましては、削井の所在が主に菅地区、菅北浦地区、中野島地区の3地区に分布していることから、1日当たり100立方メートルの浄水能力を有する可搬式膜ろ過装置を3台保有しており、1日当たり合計で300立方メートルの給水が可能となっております。災害時の必要給水量を1人1日3リットルといたしますと、約10万人規模の給水量となります。次に、臨時給水用井戸の市域全体への供給拠点としての妥当性につきましては、災害時の応急給水は、給水タンク車による応急給水や市内全域に設置している応急給水拠点で行うことを優先する考えでございまして、多摩区内に設置する臨時給水用井戸は、市内全体への供給拠点の位置づけではなく、削井周辺の方々への応急給水拠点を補完する臨時的な施設と考えております。

質問

さきの質問では、主な簿価の変化は伺いましたが、小さな額にも計上があるようです。下水道事業において、栗木台レーダー基地の土地取得を近年行った記憶があります。現状の栗木台レーダー基地の利用状況について伺います。あわせて、下水道光ファイバーの現在の利用者、これにひもづく収入、維持管理にかかる費用について伺います。

答弁

(施設保全課長)
栗木台レーダー基地などについての御質問でございますが、栗木台レーダー基地は、集中豪雨や台風などによる降雨を観測する施設でございまして、平成29年度で運用を停止し、令和3年度に鉄塔を撤去しており、現在は鉄塔の基礎及び電気室として使用していた建屋が残っているところでございます。次に、下水道光ファイバーの利用者につきましては、令和4年度現在、総務企画局に心線を貸し出しておりまして、収入は年間2,106万3,768円、下水道光ファイバーの維持管理費は、光ファイバーの点検を行う業務委託で年間269万5,000円でございます。

意見

ありがとうございます。御意見申し上げます。
現在価値の把握についてはまた市のルールとかも特に決まっていないと思うんですけれども、有効活用に至っては、現在価値、路線価でもって算出されるという手続を取られているのはよく分かりました。ただ、これはこれから有効活用しようとする土地の優先づけをする際にやっぱりお金の面というものは重要ですので、決まってはいないけれども把握するという手続は小まめに取られたほうがいいのかなと思っています。

2つ目が中野島の削井跡地のPPPの件なんですが、委員会報告は多分環境ではなされなかった。所管は総務企画局であると、そこはよく理解できるのですが、水道局所管の有効活用なので、今後は菅の削井もPPPとか募集されることになると思いますけれども、水の在り方についての大事な話なので、できれば環境委員会でも取り扱っていただければなと思います。

あと、削井の、結局災害用井戸の話なんですけれども、水の量としては10万人相当なので、まあまあ量はある。だけれども、菅、中野島に集中してしまっている。これは川崎市の皆さん全体を考えたときに、結局広域で水を運んでくるしかないという御答弁もいただいていると思うんですけれども、これは川崎市全体に同じような設備を必要とするという考えなのか。もしくは、今、菅、中野島に特異的に存在しているそれが、本当は、公平性とか平等性を考えたときに、川崎市内でこれがバランスが取れていないのではないかという議論は、ちょっと総務企画局さんとか危機管理本部と今後させていただきたいと思っていますので、皆様、しっかりと今やられていることを守られればいいのかなと思います。

最後の栗木台レーダー基地の件です。レーダー基地自体は使っていなくて、レーダー基地の跡地に関してはちょっと使えなそうな土地だということも答弁調整中に伺っています。ですが、その中で伺ったのは、光ファイバーの存在の面白さなんです。総務企画局さんが年間賃料2,000万円程度を振り込んでいただいている、そういう状況かと思いますけれども、まだ未使用の心線もどうやらあるようで、まだまだ使える余地があるのかなということも何となく感触としては伺っています。これも土地だけじゃなくて光ファイバーの暗渠の空間であったりとか貸し出しも、もっともっとやれることがあるのだなということもよく分かりました。これからこういうものを有効活用していただけるようにお願い申し上げます。