議会報告

令和7年3月6日予算審査特別委員会

三沢川流域の水害対策について

2025.03.06

質問

水害対策の一環として対策が講じられている浸水対策ですが、菅・菅稲田堤・菅城下に渡る80ヘクタールもの雨水をカバーするために、菅稲田堤3丁目ほか3ヶ所にポンプ施設設置が検討されています。先の自民党代表質問への答弁では、ポンプ車の運用には敷地不足とのことでした。仮に、近隣の宅地での協力が得られた場合、運用は考えられないのか、見解を伺います。併せて、ポンプ車ですが、現行のものでなく、より運用効率が良く、大きなポンプ車も国や他都市でも運用されています。取得の可能性について伺います。

答弁

(上下水道事業管理者)
三沢川地区の浸水対策についてのご質問でございますが、排水ポンプ車での対策につきましては、全長10メートルを超え、1台あたり8基のポンプが搭載されている排水ポンプ車を現地に9台配置するとともに、ポンプ72基と、そこから三沢側には渭水する72本のホースを設置する必要がございます。大丸用水かr排水する場合、大丸用水の中に約140メートルに渡りポンプを設置する必要があり、また、三沢川までのホースの設置については15メートルの幅が必要となります。そうしたことを踏まえると、近隣の駐車場などを利用させていただいたとしても、排水ポンプ車での運用は困難であるものと考えております。次に、排水ポンプ車の規格につきましては、現在製造されている最も大きなポンプ車の排水能力は1秒間あたり1立方メートルでございますが、過去に1秒間あたり2.5立方メートルの排水能力を持つ排水ポンプ車が製造されておりました。この排水ポンプ車には、1基あたり500キログラムのポンプが5基搭載されており、メーカーへのヒアリングの結果、ポンプの運搬や設置の際に別途クレーン車が必要となるなど、非常時の運用が困難であったため、現在は終了しているとのことでございます。

質問

菅第3公園に設置を企画するポンプ施設は自動運転となることが示されました。実際はどのような運用を想定しているのか具体的に伺います。

答弁

(上下水道事業管理者)
ポンプ施設の運用についてのご質問でございますが、菅第3公園に設置を予定しているポンプ施設につきましては、三沢川に設置する水位計とポンプ施設内に設置する水位計で自動制御する予定でございます。具体的には、三沢川の水位計で河川水位を常時観測し、大丸用水樋門の閉鎖水位を検知した際に、新たに設置するポンプ施設のゲート操作により、大丸用水の雨水をポンプ施設に流入させ、ポンプ施設の水位計のデータを基に、大丸用水の水位を一定以下に保つよう、運転制御する計画としております。

質問

令和6年夏のとある大雨の日に、市職員によって大丸用水、三沢川間の水門が閉鎖された際、大丸用水側の水位が急激に上がり、周辺住民から不安の声が寄せられました。当日の運用について多摩区長に具体的に伺います。
また本市が新たに設置を目指すポンプ施設、及び既存の水門の運用方法は妥当か、不安の声が寄せられた当日の運用方法との対比で、上下水道事業管理者に具体的に伺います。

答弁

(多摩区長)
大丸用水樋門についてのご質問でございますが、令和6年8月27日に発生した台風第10号の接近に伴う運用につきましては、29日から雨量情報や三沢川の水位など、各種データを監視し、大雨に備えていたところでございます。30日午前0時40分ごろ、三沢川の水位が、操作開始の基準となる護岸天端より3メートル下に達したことから、さらなる水位上昇による大丸用水への逆流に備え、フラップゲートの効果を見込み、樋門を全閉いたしました。その後、大丸用水の水位が上昇したため、職員が現地で目視したところ、大丸用水の水位が三沢川の水位より高く、順流が確認できたことから、30日午前2時ごろ、樋門を全開としたものでございます。

(上下水道事業管理者)
ポンプ施設についてのご質問でございますが、大丸用水樋門は、フラップゲートの機能を備えておりますが、令和6年8月の台風第10号に伴う大雨では、樋門を閉鎖した後の三沢川の水位により、大丸用水を流れる雨水がフラップゲートから排水しきれず、大丸用水の水位が上昇したものと想定されます。一方、新たに設置を計画しているポンプ施設につきましては、大丸用水樋門の閉鎖推移を検知した際に、大丸用水の雨水をポンプ施設に流入させ、三沢川へ強制的に排水する計画としておりますので、2つの施設の運用が組み合わさることで、三沢川の水位上昇時においても浸水被害を軽減できるものと考えております。

質問

住民の避難経路についても同様であり、三沢川流域外への迅速な避難、三沢川流域外からのアクセスの両立が重要となります。ポンプ施設を設置しても、三沢川が想定水位を上回った際は、ポンプ機能を止めざるを得ない状況となります。危機管理監に、当該地域住民の避難経路について見解を伺います。併せて、前回水害時、防災無線が聞こえないとの声があり、また多摩川への排水機能に欠けた三沢川水門の閉門を知ることができなかったとききます。危機管理監に、その後の対応を伺います。

答弁

(危機管理監)
地域住民の避難についてのご質問でございますが、令和元年東日本台風により、三沢川周辺で発生した浸水被害を契機に、洪水時の避難の際に活用していただくために作成した「三沢川下流部周辺地域の緊急避難タイムライン(洪水)」市のホームページに掲載するとともに、地域で防災ワークショップを開催するなど、避難の目安となる三沢川の水位や避難情報、指定緊急避難場所等について、住民の皆様に周知を図っているところでございます。浸水から約5年が経過していることから、避難意識の向上につながるよう、風水害時における地域の特性や生じる危険に応じた避難について、地域住民と意見を交わす場を関係局区と連携して検討してまいります。次に三沢川水門の閉門に関する地域住民への周知につきましては、水門の閉門時には、京浜下線事務所からの情報を、建設緑政局を通じて多摩区役所に伝達し、広報車での広報などを行うこととしておりますので、今後につきましては、危機管理本部として、同報系防災行政無線やメールニュースなどを活用し、関係極区と連携して住民への周知等に努めてまいります。

質問

(周辺地価の考え方)ポンプ施設を設置した場合、安全性の向上の反面、景観や公園の削減により、周辺地価へのネガティブな効果も考えられます。市内外のポンプ施設設置事例を踏まえ、上下水道事業管理者に見解を伺います。
また三沢川を跨ぐ形での小杉菅線の延長によるアクセス改善は、その補填策となると考えられます。まちづくり局長に見解を伺います。

答弁

(上下水道事業管理者)
周辺地下への影響についてのご質問でございますが、新たなポンプ施設が周辺の地下にどのような影響を与えるのか、見通すことは難しいものと考えておりますが、このポンプ施設は、地域の浸水被害を軽減させる有効な施設であるものと認識しております。そうしたことから、ポンプ施設の設置を計画している菅第3公園につきましては、現在とほぼ同程度の公園面積や機能を確保するなど、周辺の地下などに影響を与えないよう、地元町会等と協議しながら、検討を進めてまいりたいと考えております。

(建設緑政局長)
都市計画道路小杉菅線についてのご質問でございますが、本市の幹線道路の整備につきましては、平成28年度から令和11年度までを計画期間とする第2次川崎市道路整備プログラムに基づき、渋滞や交通事故の状況などの客観的な指標等により、整備効果の高い箇所を選定して、効率的・効果的な道路整備の推進に取り組んでいるところでございます。小杉菅線飲み沢側との交差部付近につきましては、同プログラムに位置付けておらず、現時点では事業着手の見通しをお示すことができない状況でございますが、引き続き、同プログラムに基づき、予算の集中的な投資などにより事業中工区の早期完成を目指して取り組んでまいります。

意見

この後、住民への説明にあたられることかと思います。公園を守りたい気持ちと、浸水を防ぎたい住民で分断が起きないよう、ご尽力いただきますよう、よろしくお願いします。また小杉菅線の計画地には、三沢川、県の管理する、三沢川上布田搬入路を抜ければ市道に接続します。三沢川上布田搬入路の役割と稼働状況を踏まえて、三沢川上布田搬入路用地を活用しつつ、既存の宅地住民等に最大限配慮しながら、都市計画道路・小杉菅線を菅稲田堤3丁目から下布田地域にかけて延長すべきと考えます。次期の道路整備プログラムも待てないほど、浸水対策や避難経路の確保波及を要します。今後の道路政策に、当該路線の防災面での視点も取り入れていただきたく、要望します。