議会報告

令和2年2月6日2月まちづくり委員会

請願第9号 川崎球場遺構保存に関する請願について

2020.02.06

令和2年2月6日2月まちづくり委員会で質問しました。

質問

先週、視察をさせていただきました。一応、陳情が来た限りにおいては、老朽化している物件ということで危ないというような話もありましたが、そこを視察する中で、やっぱりギャラリーで一生懸命歴史を伝えようとしていたりとか、取り組みがなされていて、その取り組みを通じて皮肉にもしっかり歴史を感じることができてしまった部分もございまして、その観点からちょっと幾つか御質問申し上げたいんです。

まず、今回請願者の方が新宿区の方ということで、いわゆる市外の方になりますが、そのほか378名ということで、市内にかかわらず川崎球場に対してファンがいるということなのかなと思うんですが、お答えいただける範囲で構わないので、この御請願者というのは、どういった背景の方々が集まっているのかというお話を伺っていれば教えていただきたいです。

答弁

請願の署名をされた方々ということでございますけれども、伺っておりますのは、かつての野球場に関連してお仕事をされている方がいらっしゃるというようなお話は伺っておりますけれども、それ以上、具体的にどういった方という情報まではいただいておりません。

(上原)

少なくとも、現場視察に行った際には、市内の方が既におられたので、市内の方だけではなくて市外からもファンがいるという意思表明なのかなという感じがしているので、ちょっとその辺を酌み取っていただきたいなと思います。

質問

文化財的価値の低減というのが資料に表現としてあると思うんですけれども、この請願を拝見する限りは、文化財的価値は低減していないと思うんですが、その点についてちょっと見解を伺いたいです。

答弁

川崎球場としての文化的価値として見てしまいますと、現在残されておりますのが照明塔3基と外野フェンスの一部といったところで、川崎球場自体の文化的価値という点では低減しているということを考えているところでございます。

質問

今、球場全体としての価値は低減しているという市の見方と、請願なさっている方のレガシーですよね。思い出であったりとか、そこにある歴史であったりとか、それを象徴しているものというのを保存してほしいというふうに読み取れるのですが、ごめんなさい、もう一度それについて御見解をお願いできますか。

答弁

公園を管理する管理者といたしましては、施設を多くの方に愛着を持っていただいて、見ていただいているということは大変ありがたいことだと考えておりまして、そうしたものが価値のあるものというところも、私どもとすれば感じているところではございます。

ただ一方で、施設管理者といった立場から申し上げますと、やはり施設の安全性でありますとか、より魅力的な施設として御利用いただくといったような観点が必要でございますので、そうしたところを総合的に考えて判断する必要があると考えております。

(上原)

資料の中にも、機能の向上のために照明の追加であったりという表現がされているので、施設の機能というところに多分大きく着目されて、もしくは安全性、機能性の部分の重視ということではあると思うんですが、今回の御請願に関しては、川崎市民であったり、野球ファンであったり、川崎球場で行われた行事に対するレガシーをしっかり守っていくということが主眼だと私には読み取れるので、少し問題の捉え方を変えていただきたいなというのがあります。

質問

具体的な話なんですけれども、請願の状況としては、遺構保存というお言葉で請願が上がっております。

遺構保存の捉え方について、基本的には指定文化財にという御指定が請願のほうではあるんですけれども、大枠で言うと遺構保存という言葉が使われているんですが、これの捉え方について、本市の捉え方を伺いたいと思います。

答弁

建造物を文化財として指定をする場合には、当該文化財の全体的な遺存状況、残りぐあいというものが重要な観点になり、文化財に指定する際の要件になってまいります。

本件の場合には、御説明申し上げましたとおり、照明塔、それから外野フェンスという旧川崎球場を構成する要素の一部ということになりますので、そうしますと、やはり全体の中の一部でございますので、文化財として指定する際の価値的なものについては、ある意味ではなかなか見合ってこないところというのはございますので、そうした全体の中の一部の遺構という意味では理解はされると思いますが、全体という点では、全体の遺構ではないというところが文化財として理解する上で難しいところだというふうには考えております。

質問

とある施設の一部に文化的価値があるや否やという件に関しては、今の機能というところを一度切り離して考えてみると、一部でも価値はありますよね。

というのは、日本全国津々浦々、部分的に遺構にされているものがあって、それが形をなしていて、文化財指定されているものなんて幾らでもあると思うんですけれども、これをあえて川崎球場全体じゃないと指定ができないという定義にされているのは、何か理由があるんですか。

答弁

原則的に文化財として指定をする場合も、要件を先ほど申し上げさせていただいたものでございますが、この照明塔、それから外野フェンスというのが主要な構成要素の一部であるというところでございますので、その一部であっても、その単体に文化財的な価値があるというふうに認められる場合には、それを例えば指定するという考え方はあろうかと思います。

ただ、本件の場合には照明灯が、いろんなレガシーはちょっと別といたしましても、50年以上時代が経過しているという条件をクリアしているというのが、まず前提になるんですけれども、その上で、文化財としての価値が認められるかどうかという部分を検討する必要があろうかと思っております。

質問

まだ検討の余地はあるという認識でよろしいでしょうか。

答弁

こうした照明塔のようなものが文化財として指定をされている事例があるかどうかについて、私どもの調べの範囲の中では、そうした事例というのは今のところないということと、外野フェンスにつきましては、これもまた一部というところがございますので、この評価はちょっと難しいというふうには考えております。

現在、市の指定になっている文化財、または市内で県の指定になっている文化財の状況を見てみますと、主な構成要素の一部を指定しているという案件が実は1例もございませんで、付随しているものとしてつけたりですとか、主体があった上で関連資料としてつけたりしているという事例はございますけれども、その付随するものの主要な構成要素の一部を指定しているというものがございませんので、検討の余地という部分でもなかなか難しいところがあるのが今の現状でございます。

質問

押し問答になってしまいますが、一部というのは、市で川崎富士見球技場という1つのくくりを考えた上では一部ですけれども、見方によっては、少なくとも近隣の住民の方で、もしそこにレガシーを感じられている方がいらしたら、その風景自体が既に保存対象になり得るものだと思うんです。

なので、とある施設の一部か否かというのを議論するのに余り意味がないかなというふうに思っています。要は請願の内容が、川崎球場自体の歴史的価値の一部をつなげるために、その一部を保存してくれと言っているわけなので、歴史的な意味というのは、今、市側や行政サイドで判断されているものと、請願サイドで考えられているもの、感じられているものが大きく食い違っているように思います。

そもそも論で言うと、もっと請願者とコミュニケーションをとるタイミングというか、何を本当に求められているのかという話し合いというのは持つことはできないものなのでしょうか。

答弁

照明塔及びフェンスにつきまして、特にフェンスにつきましては、今後も使用していくという予定もございますし、今後どういった形で残していくのか、あるいは改修していくのかといったところを検討する中で、お話をさせていただく機会というのは設けることは可能だと思っております。

今回は文化財としての保存といったような視点でのお話でございましたので、それに関しましては御説明を申し上げましたとおり、そもそも川崎球場をベースとした現在の照明塔を残してほしいという観点で考えますと、川崎球場全体というような考え方の捉え方が1点あったということをお話しさせていただいたと思うんですけれども、施設の観点で申し上げさせていただきますと、こちらもちょっと繰り返しにはなってしまうんですが、文化財として指定する場合の制約といたしましては、そのものを残していくということになっていくかと思うんですが、補修等に制限がかかるといったような状況の中で、現在の施設自体が昭和29年に設置された当初の構造図等がないという状況の中で、使い続けるための補強なり、補修なりといったようなところの計画が立てられない状況にある中で、そのまま保存をするというと施設管理者としての責任を果たし切れないといったような観点で、文化財としての指定というのは厳しいのかなと整理をさせていただいているところでございます。

質問

使用し続けるということを省いて、その情景だけを残すといった手法というのは考えられないものでしょうか。

答弁

現在の照明塔自体を使わずにそのまま残していくといった場合にも、当然一定の高さのある構造物でございますので、将来にわたっての安全確保というのは必要になってまいります。そのためには、繰り返しになって恐縮ですけれども、当時の構造がわからない中で、例えば地震ですとか昨今ふえている風水害等にどれだけ耐えられるのかといったような状況もわからないものでございますので、やはり管理をしていく上で、そのまま保存するというのは難しいと考えております。

質問

構図がなければ保存はできないという論理なんですけれども、ちょっとこれは余り理解できないんですが、今、現存構築物があって、それを分析すること、もしくは補強することは考え得るものではないんでしょうか

。要は、元構造がこうだからこうじゃなくて、当該物件よりももっと古いものなんて幾らでもあるわけですから、補強が必要なものだってあると思います。今ある姿に対して補強するという考え方はできないのかというのを、ごめんなさい、もう一度確認させてください。

答弁

構造自体を確認し直して、必要な調査等を行うことにより設計を復元、作成することについては、当然調査のための費用が必要になるんですけれども、再現をして、そのために必要な補強を計画するというのは可能なところでございます。

その一方で、鉄部の状況がどういうものであったのかとか、そういった細かな調査をしていかないといけないといったような点で、かなり高額な費用が想定されるところでございます。そうした中で、仮に保存をするといったときに、どういった補強ができるのかといったところでもちょっと不明なところが多いんですけれども、少なくとも今の現状の形のままでは保存は難しいというふうに考えておりますので、今の形を何か改編して補強して保存するということについて、それだけの費用を投じて保全していくといったような必要があるかどうかというのは、ちょっと検討が必要な部分だと思います。

(上原)

おっしゃるとおりだと思います。これを仮に保存して残した場合に幾らのコストがかかって、それに見合うだけの文化的価値があるかないかということを考えなければならないと御指摘がありました。

であれば、できれば委員会にも、その想定された金額であったりとか計画であったりといったものを、要は両方のシナリオに対して比較するという状態じゃないと議論がなかなか難しいことだと思いますので、できればネガティブなほうに捉えていますということではなくて、これを仮に実行するとなったらどれぐらいの何がかかるのかというのをはっきりさせないと、なかなか比較がしにくいのかなというふうに思いました。

最後に、ここの歴史的な価値が高いということを、なぜ私が視察に行って感じたかというと、やっぱりギャラリーなんですよね。歴史的なコンテンツに対してギャラリーがちょっと狭過ぎるんじゃないかなというのがありますので、もうちょっと見せ方を、中の運営サイドはすごく工夫されているので、その意を酌み取るというかもう少し、大した金額はかからないと思うので、施設サイドで何かサポートできることがあればと思っております。